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クズノハ提督録
クズノハ提督邂逅
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が……」
「何、その意味深な言い方! ねぇ!?」
葛葉の不安をよそに芝田と安藤は食事に集中することにした。





授業が終わり、葛葉はいつも通りと言った具合に鎮守府へ向かった。彼の通う大学から鎮守府までの距離は決して近いとは言えないが、交通費は経費で全額負担される為、片道2時間という点以外の問題は無い。
陽も傾き、西の空がほんのり赤くなるまでもう間も無くという頃、葛葉は彼の職場への道を歩いていた。
「……またいる」
歩く葛葉の視線の先には、先日と同じ場所にて同じ格好で同じ様に正面玄関を見上げる白銀色の後ろ姿があった。
「ん? あぁ……おかえり」
少女は葛葉に気付くと僅かに微笑みながら声をかけた。
「ただいま。何か用か?」
葛葉は、この銀髪少女の二日連続の訪問に何か目的があるのではと疑った。
「いや、特に。ただ雷と電の元気そうな姿が見れたらな、と思っただけだよ。それじゃ」
「え、じゃあ」
会って行けよ、と声をかける前に少女は立ち去ってしまった。
「……次は会わせてやるか」





「あ、おかえりなさい司令官!」
「なのです!」
鎮守府の扉を開け、中へ入ると雷と電が待ち伏せしていたかのように立っていた。
「ああ、ただいま。ところで、お前達に一つ聞きたいことがあるんだが」
そう言って葛葉は昼間に芝田達から聞いた事を話した。
「べーるぬい? 残念だけど……私は知らないわ」
「私も知らないのです……そもそも私達は沈んでからの記憶が無いので賠償艦については何も知らないのです」
二人は申し訳なさそうな顔を浮かべ、小さい体を更に小さくした。
「いやいやそこまで気にすることはない……じゃあ長門型戦艦の二隻については知っているか?」
葛葉はしゃがみ込み、二人に目線を合わせて問いかけた。
「長門さんと陸奥さんね!」
「勿論知ってるのです。ただ……陸奥さんは兎も角ですが、長門さんはどうなったのか私達は知らないのです」
戦艦陸奥は1943年の6月、雷が沈む約一年前に謎の大爆発で沈んでいるが、戦艦長門は終戦まで生き残った。彼女達が長門についてどうなったのかを知らないのも無理はない。
「ああ、長門は終戦まで生き残ったらしいな。安藤から聞いた」
葛葉の言葉を聞き、二人の表情が明るくなった。
「やっぱり流石長門さんね!」
「なのです!」
「ただ、安藤が終始少しだけ暗そうな顔をしていたってのが気になるな……」
葛葉が黙り出した為、雷と電も口を閉じてしまう。鎮守府が沈黙に包まれ、雰囲気もどことなく暗くなってきた頃、葛葉はこれではいけないとばかりに明るく声を上げた。
「ま、まぁ! 俺らに
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