暁 〜小説投稿サイト〜
リメイク版FF3・短編集
よかった、君がいてくれて
[1/2]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
「 ────ルーネス、お前は自分の理想を私に重ねているだけだ。……お前が思っている程、私は強くない」


 イングズはそう云って、落葉が自然に敷かれた地面に腰を下ろしたまま、パチパチと小さく音を立てる焚き火に目を移した。

………その瞳に、炎の灯りがゆらめいている。

野宿での見張り番交替のはずが小声で話し込んじまって、おれは素直に『イングズはいつだって"強い"よな〜』とか云っただけなのに。


「お前から見て私が強いのだとすると……、まだまだお前の目に見えている範囲は狭いんだ。私より強き存在など、数多くいる。────少なくとも、浮遊大陸を出た今となっては特に、な」

 イングズは自嘲するかのように微笑を浮かべた。


「所詮私1人の力では限度がある。………本当に強いのであれば、水の洞窟の最奥で真っ先に敵の気配に気付くべきだったろう」


 その表情は、どこか哀しげに見えた。イングズは、あの時の自分を責めている────?


「あれは、おれが悪いんだ。エリアに庇われたおれが………」


「守るべき対象も守れずに、何が光の戦士なんだろうな………」


 イングズはふと、瞳を閉じた。


────その瞳の奥で、何を視ているんだろう。


「おれ達って……、ダメダメ戦士なのかもな?」

「あぁ……、そうかもな」


「けど───それでもさ、まだやめらんないじゃん。おれ達……、デッシュにもエリアにも、"想い"託されてんだし。強く、なってこうぜ一緒に」


「ルーネス、お前──── 」


 イングズが、おれに顔を向けて目を見張ってる……。変なこと、云ったか??


「 フ……、そうだな。少し気が楽になった、ありがとうルーネス」

 うわ、そんな優しい顔しながらおれの頭撫でてくるなよ、恥ずいだろっ。


「ん〜っと、この際ひとつ聞くけどさ……、イングズが "怖いもの"って、なんだ?」


 つい照れ隠しで聞いちまったけど、イングズはちょっと首を傾げて焚き火に目を戻し、少し間を置いて答える。


「 怖いもの────恐れている事で云うなら、サラ姫様に見限られる事か」

「はぁ……?! そんなんあり得ないじゃん!」

「大きな声を上げるな……、レフィアとアルクゥを起こしてしまうだろう」


 いや、だってあり得ないだろ。おれでも分かるくらいに、サラ姫はイングズを大事に想って─────

「あり得ないとも限らないだろう。急に、愛想を尽かされてしまったら………」


 は〜、恐れてる事ってそれかよっ。 顔背けちゃって……、変なとこ心配性なんだからさ。


「つーかサラ姫って……、弟を溺愛
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ