よかった、君がいてくれて
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「 ────ルーネス、お前は自分の理想を私に重ねているだけだ。……お前が思っている程、私は強くない」
イングズはそう云って、落葉が自然に敷かれた地面に腰を下ろしたまま、パチパチと小さく音を立てる焚き火に目を移した。
………その瞳に、炎の灯りがゆらめいている。
野宿での見張り番交替のはずが小声で話し込んじまって、おれは素直に『イングズはいつだって"強い"よな〜』とか云っただけなのに。
「お前から見て私が強いのだとすると……、まだまだお前の目に見えている範囲は狭いんだ。私より強き存在など、数多くいる。────少なくとも、浮遊大陸を出た今となっては特に、な」
イングズは自嘲するかのように微笑を浮かべた。
「所詮私1人の力では限度がある。………本当に強いのであれば、水の洞窟の最奥で真っ先に敵の気配に気付くべきだったろう」
その表情は、どこか哀しげに見えた。イングズは、あの時の自分を責めている────?
「あれは、おれが悪いんだ。エリアに庇われたおれが………」
「守るべき対象も守れずに、何が光の戦士なんだろうな………」
イングズはふと、瞳を閉じた。
────その瞳の奥で、何を視ているんだろう。
「おれ達って……、ダメダメ戦士なのかもな?」
「あぁ……、そうかもな」
「けど───それでもさ、まだやめらんないじゃん。おれ達……、デッシュにもエリアにも、"想い"託されてんだし。強く、なってこうぜ一緒に」
「ルーネス、お前──── 」
イングズが、おれに顔を向けて目を見張ってる……。変なこと、云ったか??
「 フ……、そうだな。少し気が楽になった、ありがとうルーネス」
うわ、そんな優しい顔しながらおれの頭撫でてくるなよ、恥ずいだろっ。
「ん〜っと、この際ひとつ聞くけどさ……、イングズが "怖いもの"って、なんだ?」
つい照れ隠しで聞いちまったけど、イングズはちょっと首を傾げて焚き火に目を戻し、少し間を置いて答える。
「 怖いもの────恐れている事で云うなら、サラ姫様に見限られる事か」
「はぁ……?! そんなんあり得ないじゃん!」
「大きな声を上げるな……、レフィアとアルクゥを起こしてしまうだろう」
いや、だってあり得ないだろ。おれでも分かるくらいに、サラ姫はイングズを大事に想って─────
「あり得ないとも限らないだろう。急に、愛想を尽かされてしまったら………」
は〜、恐れてる事ってそれかよっ。 顔背けちゃって……、変なとこ心配性なんだからさ。
「つーかサラ姫って……、弟を溺愛
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