合宿編
二十話
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入浴後、火照った身体を心地良い夜風で冷ましていると、様子を見に行っていたノーヴェが戻って来た。
「チビッ子達はぐったりだった?」
「初参加組も一緒にな」
「アインハルトとアレクも?」
「同じく、ベッドから動けなかったよ」
それはそうだろう、とティアナはスバル共々笑みを漏らす。
二戦目以降、ヴィヴィオは張り切り過ぎていたところも有った。新たに参加した友達や先輩の実力が琴線に触れたのか、必要以上に気合が入っていた。ヴィヴィオに伴いリオやコロナ、アインハルトでさえも感化されたようだった。
だが、後先考えない限界を超えた動きだったので、終盤は気力で持たせているようなもの。なので気が抜けた今では、動けなくなてもしかたないだろう。
「でもその様子なら、アインハルトの肌に合ったみたいね」
「ああ、あいつは競技者向きだ」
確信したよ、とノーヴェはティアナに頷いた。
アインハルトは覇王流が他のどの流派より優れていると証明する事が目的の一つ。その為に己を鍛え、高みを目指しているが、それは他の競技者と何ら変わりない。競技者とは、鍛えた体と技、そして迷わぬ心を持って挑む者。アインハルトも根本的な部分は、競技者と同じなのだ。
生きる意味は表舞台に無い。最初に手合わせした時にアインハルトは言っていたが、ノーヴェはそう思わない。寧ろ、表に出てこそ意味があるのだと思う。勝者としての栄光も讃頌も、強者である証明だって出来はしないのだから。
「じゃあアインハルトもインターミドルに?」
「誘ってみる積もりだけど、今頃はもうお嬢かヴィヴィオが誘ってるんじゃないか?」
「確かに、今年はルーも出るって言ってたしね」
それは健全で良い、と笑うスバルに、ノーヴェも同様に笑みを漏らすが、ふとした拍子に真顔に成った。
「でも、あいつらが出るんなら……あたしも覚悟決めねーといけないんだけど……」
ノーヴェの覚悟とは、ヴィヴィオ達の本当の意味で師匠に成るというもの。
だが、ノーヴェも自分の道を探す者。未熟者が正しく導くなんて、出来るとは思えない。本当に成って良いものなのか、自分では無くもっと一流の指導者の方が――――
「いいじゃない」
「……スバル」
姉の言葉に、思考が切れた。
「一緒に笑って、一緒に前を向いて、一緒に練習して、一緒に頑張って。そういう中で見つかるものだってあるよ」
「そう、かな……?」
「そうだよ。それに、もう師匠って呼ばれてるじゃない。もうヴィヴィオ達にはとっくに受け入れられているんだよ。そうでなきゃ、楽しそうに練習の話なんてしないよ」
ポリポリと照れ臭そうに頬を掻くノーヴェに、スバルは優しく微笑む。
ティアナはそんなスバルに
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