合宿編
二十話
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ム」
両手をワキワキといやらしく見せつけ残虐的な笑みを浮かべるアレクに、アインハルトは身を硬くしたが、続いて伸びる魔の手は、なんとか押さえられた。
危なかった。あと少し遅かったら、ヘソに指を突っ込まれて擽られていた。悲願を叶えるまで笑ってはいけないという誓いをまた強制的に破られる所だった。
だが、アインハルトの片手は回顧録を持っていて、対するアレクの片手は完全にフリー。アインハルトに回顧録を放りだす選択は出来ないので、これ以上防ぐ手段が無い。
ゆっくりと魔の手が服を捲り、ヘソに伸びた……所で走る足音が近付いて来た。
「あっ、あのっ! むっ、無理やりはいけないと思いますっ!」
聞えた方を向くと、やたら顔を赤くしたヴィヴィオが居た。
「あっ、アレクさんは男の子ですし我慢できない事もあるかと思いますけど。でもでもアインハルトさんは女の子ですし、此処じゃなくてベッドとかもっとムードとか……とゆーか襲うなんて持っての他だと思いますっ!!」
「……無理やりがダメだったらどうしろと?」
「えっと、その……やっぱり優しくが一番だと……でもそれはヴィヴィオの考えでアインハルトさんも一緒かは……ああでもアインハルトさんも女の子ですし……」
なに言ってるんだ? とアレクはヴィヴィオの言い分が解からず首を傾げる。
一方アインハルトは、同じ女の子だからかヴィヴィオの言わんとする事が解かってしまった。押し倒され抵抗していれば、そう判断されても可笑しくない。目的は違えど、襲われている事は確かなのだから。今更ながら羞恥心が湧き起こってきた。
だが、その気が微塵も無いアレクには解からない。
「……優しくじゃお仕置きにならんだろ」
「おっ――――お仕置きっ!?」
ボンッ! とヴィヴィオの顔が沸騰したかのように更に真っ赤に成り、衝撃を受けたかのように後ずさった。
その様子にアレクは疑問を浮かべるが、組み伏せられているアインハルトにはヴィヴィオがとんでもない事を想像していると分かってしまった。
だがアインハルトにはヴィヴィオが思い浮かべるような事をされて喜ぶ趣味もなければ、そんな癖もない。ヘソを弄られると変な声を上げてしまうが、それは違う。
兎に角、このまま変な誤解をされる事は絶対に免れたい。
「ヴィヴィオさん、これはアレクさんが勝手にやった事で、私は当然嫌で……」
「この前は変な声あげて喜んでたじゃねえか」
「こっ――――この前っ!? 初めてじゃないんですかっ!?」
「ちっ、違いますっ! アレクさんは誤解を招く事を言わないでください!」
未だ理解しないアレクの物言いでヴィヴィオが変に誤解して行く。もうどうしていいのやら。アインハルトは縋る気持ちで回顧録を力強く握った。クラウス、力を貸してく
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