合宿編
二十話
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も間に合わなかった、じゃ話にならないもんね」
答えは出ないが、とりあえず参加準備はさせておこう、そう決めた。
◇ ◆ ◇
もう皆が寝静まった深夜、アレクは目を開いた。
やはり眠れない。枕が変わると何時もこうだ。身体は休息を求めているのだが、目だけは確りと覚めてしまっている。
隣のベッドで熟睡しているエリオが羨ましい。
(……外いくか)
どうも此処では眠れそうになく、エリオは殴りたい程に安らかな顔だ。イラつきだけが募って行く。
適当な野原に寝転んで、夜を過ごそう。アレクは掛けていたタオルケットを持ち、静かに外へ出た。
「おおぅ」
木々を抜け、開けた地帯に出た時、目に入る光景に魅入った。広がる草原を囲う山々、空には輝く星と満月。人の手が全く入ってない大自然の絵だ。
その一端にアレクは寝転び、目を閉じた。夜風で煽られた草木の囁きが、良い子守唄に聞こえる。
これなら眠れそうだ……、と思ったのは少しの間だけで、数分後に見開いて身を起こす破目に成った。抜けてきた木々の方に、近付いて来る気を感じたのだ。
「……つーか、なんで感じ取れるんだ?」
気を遣う者は自身だけでなく、相手の気も感じられるようになり、孰れは気から相手の動くを読めるように成る。アレクは経験の補助も有り、その入り口に立っていた。
因みに出来る様になった瞬間は、SLBを食らい、死の淵から復帰した時である。そして、試合中にヴィヴィオの位置を特定出来たのも、気を読んだからである。
だが、当のアレクは必死であり無意識にやっていたので全く覚えておらず、首を傾げるだけだった。
ただ、そうしている間にも、気は近づいて来て、木々を抜ける直前で止まった。
アレクの意識も其方に向く。
(なんか、視線を感じる……)
主に、後ろから。ここ最近、慣れ親しんだ視線が。
(そういや、なんか似たような事もあったような……)
あの時も、すぐ後ろに奴は居た。疲弊してる所に現れた。そして問題を持ってきた。
まさか、と思いながらも後ろを盗み見ると、同じ人物が居た。胸に先祖の回顧録を抱きながら、アインハルトが立っていた。今回はこの回顧録が問題だろうか?
超逃げ出したい衝動に駆られるが此処は異世界。帰る手段が無ければ、逃げた所で結局また顔を合わせる破目に成る。
そういやあん時も自分の部屋(?)で逃げ場が無かったな、とギリギリと歯軋りしていると、アインハルトはまたもやすぐ後ろまで来ていた。
「……なんで此処に居るんだよコンチクショウ」
「……ロッジから出て行く姿が見えたので、どうしたのかと思って……」
「別にどうしもしねーよ」
「……でしたら、何故外へ?」
アレクは棘ある口調での言
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