合宿編
二十話
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目を少し細め、しみじみと思った。ノーヴェの前だとお姉ちゃんに成るのよねぇ、と。
スバルとは機動六課から別れた後は殆んど休日しか会えてなかったが、段々と精神的落ち着きを見せる様に成った。
それはやはり、ノーヴェの存在が大きかったのではないかと思う。大切と思える下が出来ると、自然と自立心が出来上がるものだ。
それでも根っこの部分は、誰かに手を伸ばす姿勢は変わらない。
スバルは気づいているだろうか。既に憧れた存在と近い所に居る事に。
対して、自分はどうだろうか。
兄の夢、そして自分の夢にもなった執務官に成るという事。それは果たした。だが、ふと思う時があった。兄は何故執務官に成りたかったのか、成って何がしたかったのか、と。
私利欲など絶対に無いだろう。つまり――――他人の為。
誰かに手を伸ばす。直接か間接かの違いもあるが、根本的に変わらない。自分の目指す所もスバルと同じであった。
(結局、同じだったのよねぇ……)
しみじみと思い返していると、気になる名前が耳に入った。ティアナが手を伸ばし、ふん捕まえた問題児だ。
「じゃあアレクは誘わないの?」
「いや、誘う積もりでいるんだけど……」
ノーヴェは言い難そうに切るが、言わんとする事は分かっている。
アレクは、己が修める武に誇りを持ってない。ただの手段、そう思っている節が有る。
それに今日の試合よりも、以前アインハルトと対峙した時の方が高揚していた。
戦いたい者と戦う、それこそが望む戦いであり、それしか無いのだろう。要は、競技者向きの思考ではないのだ。
故に、アレクはインターミドルに意味を見い出す事は無い。
だから誘えない……という訳では無い。
原初の戦いを好み、続けて行けば、孰れは修羅という言葉が似合う存在になってしまうだろうが、今のアレクは手の掛かる問題児程度。修羅という存在には程遠い。今ならまだ、拳を振るい、交える楽しさを覚える事も出来よう。
なので問題は、アレクをどうやってやる気にさせるか、これに尽きる。
このまま参加せても、直前に放棄して姿を眩ますといった危機感の方が圧倒的に強い。本人がやる気にならなければ、どうしようもないのだ。
それにセコンド等でヴィヴィオ達と同じチーム登録をするので、間違いなく悪影響を及ぼすだろう。アレクの事に気が行って試合にならない、なんて事は絶対に避けたい。
だが、参加させ、一度でも体験させなければアレクは今の儘だ。変わる事なんて有りはしない。
どうしたものか。悩ましげに腕を組むノーヴェと共に、ティアナとスバルも唸り声を上げた。
「……とりあえず、参加資格だけでも与えておくわよ」
「……ああ、デバイスは絶対必要だからな」
「……いざやる気になって
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