暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
観測者たちの宴篇
24.救助の先
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なたに会った時からそんな気はしてたのよね」

 どうやら深森は、彩斗を治療系の過適応能力者(ハイパーアダプター)だと勘違いしているようだ。
 原因は、何と無くだが予想できた。あの時の光のせいだろう。
 あいつが一時的に彩斗の危機を感知して自らの魔力を使って出現した。その時の魔力が右手に残っていたのであろう。

「ちょっとお手を拝借するわよ」

「えっ!」

 こちらの返事も待たずに深森は彩斗の右手首を掴み、ソファーで横たわる優麻の元へと近づく。
 改めて間近で見る優麻は息も荒く、衣服の血が生々しく感じられる。

「で、俺はなにを?」

「それは……」

 深森はにこっと微笑む。その瞬間、とてつもない悪寒が再び身体を走る。
 だが、その時には遅かった。
 深森は、彩斗の右手を優麻のドレスの胸元へと突っ込んだのだ。

「なっ──!?」

 即座に引き抜こうとしたがガッチリと右手を固定され、指ぐらいしか動かせない。
 柔らかな二つの感触が腕を挟む。
 彩斗の顔を熱さが襲う。すると右手が生温かい液体に触れる感触を感じとる。それは考えるまでもなくわかった。彩斗が盾になったが庇いきれずに負わせてしまった傷だった。

「くっそ──」

 守りきれなかった罪悪感にかられるなか右手が突如としてあの時と同じ光を放った。
 それはあいつがもう一度力を貸してくれるということだ。
 だが、あいつは今だ彩斗の支配下についたわけではない。彩斗の意思に応えてその力を貸してくれるのだろうか。
 わずかな疑心感が頭をよぎった。
 だがこれで優麻を少しでも楽にできると安堵した瞬間、彩斗の身体に激痛が走る。

「んぐっ……!?」

 悶えそうな痛み。身体中の血液が沸騰し、噴き出しそうだ。
 そして背中から何かが引きちぎられるような感覚が彩斗の身体に容赦なく襲いかかる。
 それは優麻が“守護者”を奪われたときに受けた痛みなのだろうか。

「くそ……」

 わずかに震えた喉が言葉を発して彩斗の視界は暗転し、意識が深い闇の中へと消えていった。
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