暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
観測者たちの宴篇
24.救助の先
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紗矢華の耳元で何かを言っている。

「え? ええっ!?」

 なにやら言われた紗矢華は古城に凪沙の元へと突き出される。そんな紗矢華の手首を凪沙はぎゅっと握る。

「逃がしませんよ」

「ちょ……あ、あとで覚えてなさいよ、暁古城……!」

 凪沙に連行されていく紗矢華の叫びを無視して、古城は母親に向き直った。
 にこやかな深森とは対照的に、古城は異様に疲れている。

「……頼みがあるんだ。ユウマを診てやってくれないか?」

「ふんふ? ユウマって、ユウちゃんのこと? 懐かしいわねえ。そういえばユウちゃんって女の子だったのよねえ」

 深森は、彩斗に背中にいる状態で顔をのぞきこむ。慣れた手つきで、傷ついた優麻の肌に触れる。

「なにがあったの、古城君?」

「詳しい事情を話してる暇はないんだ。だけど……ユウマは実は……」

「──魔女だった?」

「わかるんだな、やっぱり」

 深森はあっさり言い当てたのだ。

「とりあえず診てみるね。さ、入って入って」

 深森に案内されるまま、部屋へと移動にする。全体的に高級な造りのゲストハウスの中でも、深森が占拠しているのは、特に豪華なスイートルームだ。
 下着や未開封の郵便物や怪しげな医療器具などが乱雑な部屋だが、凪沙が片付けたのか、ソファー周辺は辛うじてまともだ。
 そのソファーの上に彩斗は優麻を横に寝かせる。

「出血のわりに外傷はそこまで深くないわね。胸の刀傷も、内臓までは届いていない。空間を歪めて致命傷を防いだのかも──うーん……このままだとよくわかんないな。そこの君、ちょっとここんとこ支えてて」

「え? あ、はい」

 彩斗は深森に言われるがままに、眠っている優麻の上体を起こして抱き支える。するとなにを思ったか、優麻のドレスの胸元へと、おもむろに手を突っ込んだ。

「よいしょっ、と……これ、持っててね」

 そこから何かを引き出して雪菜と友妃の前に放り投げた。受け取った白い布きれを広げて、わ、と雪菜が焦った声を出す。それは優麻のブラジャーだったのだ。

「い、いきなりなにをやってんだっ、あんたはっ……!?」

 古城はそれから目を逸らしながら、抗議する。
 彩斗は毎度おなじみで顔が真っ赤に染まる。

「触診の邪魔だったから、外しちゃった……まあ、ユウちゃんったら、ちょっと見ないうちに立派に育っちゃって……」

 深森の態度に、ドン引きしたような表情を浮かべる雪菜と友妃。

「あの……おばさま。相手はいちおう……その、怪我人なので……」

「あら。あなたが、姫柊雪菜ちゃん?」

「あ……はい」

 じっくりと雪菜へと視線を向ける。

「なるほどねー。あ、心配しないで。私、い
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