暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
観測者たちの宴篇
24.救助の先
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 唯はリボンの幼女の頭を撫でて慰めている。
 浅葱は紙ナプキンを何枚かつまみ上げ、リボンの幼女の頬に手を伸ばした。

「わかった。こうしよう。今からあなたの名前はサナちゃん」

「サナ?」

「そ。あなたが本当の名前を思い出すまでの、あだ名ね。名前がないとよぶときに困るしね」

 浅葱の言葉を聞いて、幼女は戸惑うように何度か目を瞬いた。やがてその頬が照れたように赤く染まる。

「サナ……わたしのなまえ」

「うん」

 サナが喜んでいるのを確認して、浅葱もこっそり笑みを浮かべる。
 浅葱の一日は、まだ終わりそうになさそうだ。




 MAR研究所の敷地で広大で、無数のビルが連結された複雑な立体構造になっていた。
 古城の後を追ってたどり着いたのは、敷地の片隅の円形のビルだった。
 リゾートマンションを連想させる小洒落た建物だ。
 静脈認証のタッチパネルで掌を押し当てて、古城はゲストハウスの玄関のドアを開けた。大理石で飾り付けられた豪華なロビーに入っていく。

「暁古城のお母さんがここにいるわけ?」

「うちの母親はMAR医療部門の主任研究者なんだよ。臨床魔導医師の資格も持ってる。ユウマともいちおう知り合いだしな」

 古城は顔をしかめて呟いた。
 どうやら古城も母親と会うことをあまりよくは思っていない。

「ちょっと待って……まだ、そんあ、心の準備が……」

「……なんでおまえが緊張してるんだ?」

 古城は怪訝そうに振り返った。紗矢華はカッと頬を赤く染める。

「き、緊張なんかしてへんわ!」

「言葉遣いまでおかしくなってるじゃねえかよ」

 紗矢華をあまり古城は気にしてないようだ。
 あの、と雪菜が遠慮がちな声で古城に訊く。

「わたしたちも一緒にお邪魔してもいいんでしょうか?」

「この格好はいいのかな?」

 友妃も同じことを言っているのだろう。
 激しい戦闘で雪菜と友妃の服は、埃や擦り傷でボロボロだ。二人の銀の武器も返り血で汚れている。
 しかし古城は、なんだそんなことか、と薄く笑うだけだった。

「それは多分心配いらない。会ってみればわかると思うぞ」

「は、はあ……」

 戸惑う雪菜たちに構わず、呼鈴を鳴らす。
 ドアの向こう側でバタバタとした落ち着きのない音とともに鍵が外れる。
 その瞬間、部屋の中から飛び出してきたのは、白衣を着た巨大なジャックランタンだった。

「ばあっ!」

「ひゃあああああっ!?」

 ガチガチに緊張していた雪菜と紗矢華は、想定外の襲撃に悲鳴を上げる。
 友妃は案外冷静にしている。
 白衣を着たジャックランタンは、満足したのか、実に楽しそうに、すぽん、と頭を引き抜いた。中から現
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