魔石の時代
第一章
始まりの夜2
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出す。そこから先のことは良く分からなかった。青白い静謐な光がジュエルシードからあふれ出す。それは彼の右腕に吸い込まれていき――最後に大きな光の塊がその腕によって引っ張り出される。それもまた、やはり彼の右腕へと吸い込まれていく。それが一体何なのか――どんな魔法なのかはまるで分らなかったが、残されたジュエルシードは――明らかにとても安定した状態になっている。自分が発見した時よりも遥かに。それを拾い上げ、彼は振り向いた。
「さて、それでは詳しく聞かせてもらおうか。これは一体何だ?」
……――
つくづく面倒な事になったものだ。そのフェレットの話を聞き、最初に感じた事はそれだった。他に何を思えばいいのか。
(やはりネズミにしろ猫にしろろくな思い出がないか)
陰鬱な気分で呻く。だが、何であれ対処しなければならないだろう。何でも願いを叶える宝石など、どうせろくなものではない。実際、どこぞの世界では滅びの原因になったらしい。驚くような事でもないが。
ついでに言えば、この魔導師が入り込んできたのは、この宝石を探しての事らしい。そんな物騒な代物を相手に送れる人員がフェレット一匹とは、どこのどんな組織か知らないがよほど人材が枯渇しているのだろう。あるいは、自分達と無関係な世界など、どうなっても別に構わないという事かもしれないが――まぁ、団体で来られても面倒なだけか。こちらはこちらで勝手にやらせてもらうとしよう。
「ジュエルシードとやらの事は分かった。それで、何故この娘を巻き込もうとした?」
何故なのはを巻き込もうとしたのか。問題はそれだ。それ次第で、このフェレットの処遇を決めよう。静かに心に決める。
「それは……彼女には魔法の才能があるから……」
「それが理由か?」
それが理由なら、問題は一つ減る。要するに魔法使いが一人いればいいというのなら。
「は、はい。その、僕の力では、暴走体を止められないので……」
「だろうな」
とりあえず頷いておいたが、半分は違う。あの魔物は、このフェレットを殺したがっていた。どうやら、眠りを妨げられたのがよほど腹に据えかねたらしい。復讐と言うべきか逆恨みと言うべきかはなかなか判断しづらいところだが、何であれ相性が悪すぎた。
(まぁ、何だ。安眠妨害は迷惑だよな)
手の中のジュエルシードとやらに語りかけるように呟く。一通り暴れて満足したのか、今はすっかり大人しくなっている。それには感謝すべきだろう。下手に暴れられ、生贄にするしかなくなれば、どんな代償を背負わされるか分かったものではない。
ただでさえ、もう人間とは言い難い体質だと言うのに。
「事情は分かった。仕方がない。この一件、俺が引き受ける」
なのはを少しだけ見やってから呻くように告げた。
「予定よりずいぶんと早いが……魔法使いに戻るにはいい夜
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