第九話
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ました」
最後にそう締めくくり、壇上から頭を下げる。
言いたいことは全部言った。伝えたいことも全部口にした。後は彼女たちの判断に任せる。
後は天命を待つのみ、と思いながら頭を下げ続けていると。
――パチパチパチ。
一つの拍手が聞こえた。
頭を上げると、リーラだった。
彼女に呼応するように広がっていく拍手の音。やがて瞬く間に広がっていき、拍手喝采へと繋がった。
盛大な拍手に俺を歓迎する声の数々。
認められた、ただそれが嬉しくて。
視界に映るみんなの姿が滲んで見えた。
「おめでとう。これで君は彼女たち第五装甲猟兵侍女中隊の主だ」
俺の肩に優しく手を置きそう言ってくれるじいさん。
「これでワシも安心して老後を楽しめる」
「もうすでに老後じゃないですか」
変声器で通った声は震えて聞こえた。
それもそうだな、と笑って答えるじいさん。
やがて拍手が止み、リーラが前に出た。
「我ら第五装甲猟兵侍女中隊一同、式森和樹様を主として仰ぎ、以後変わらぬ忠誠を捧げることをここに誓います。どうか、これからもよろしくお願いいたします。ご主人様」
『よろしくお願いします!』
優雅に頭を下げるリーラに合わせ、一斉に低頭するメイドたち。
その光景を前に、ふとある考えが浮かんだ。
それを実行するには普通なら途方もない勇気が必要だったが、この場の空気が背中を押してくれた。
「――こちらこそ、よろしくね」
変声器でない生の肉声。レンズ越しでない肉眼での光景。
涼やかな風が肌を優しく撫で、黒髪を小さく揺らした。
「ご、ご主人様……」
リーラの唖然とした顔がよく見えた。
「ご、ご主人様が、マスクを外した!?」
「ウソ……今まで一度も外したのを目撃した人はいないって報告書に上がってたわよね?」
「ご主人様って、こんな顔をしてるんですね〜」
「やだ、可愛い……」
ざわめくメイドたち。
そう、俺は今、十二年ぶりに人前でマスクを外したのだった。
「どうかな、俺の顔は。結構レアなんだよ?」
一番に見せてあげたかった人に聞く。
その人は頬を赤く染め、若干潤んだ瞳で俺を眩しそうに見上げながら呟いた。
「とても、素敵です……想像以上に」
「そう? はは、ありがとう。だけどごめんね?」
「え?」
どんどん熱を帯びていく身体。とくに顔。
やっぱ
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