番外14話『激情晩』
[10/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
みたいね」
!?
……それだ!
家族的な!
家族愛的な!
「そ、そそそそそう! それ! それだ!」
「もう遅いわよ……それだったらそんなに動揺しないでしょ、あんた」
「おぅふ」
そりゃそうだ。
「ねぇハント」
「……はい」
ナミの腕が動いて抱擁を剥がされた。
これからフられるんだから、ナミがそういう行動に出るのは当たり前だけど、すごく寂しいと感じてしまう。
お互いの体が離れて事でナミの顔が見えた。
髪がぬれてて、相変わらずのびじかわいい笑顔。水もしたたるいい女だ。
……いやしかし……聞きたくないなぁ。
ナミの口が開く。
なんでかは自分でもわからないけど、反射的に目を閉じた。
「私も……同じ気持ち」
……ん?
同じ?
「好き」
……え?
どういう意味だろうか。
好き?
……ん?
「ぁ……ぇ」
声が出ない。
反応できない。
意味がわからない。
――好き?
誰が? ……いやいやいやこれはナミだ。ナミが好きだと言った。
――誰を?
俺を? ……いやいやいやだって先約がいるって言ってたじゃないか。
んん?
……ちょっと待った。
そもそもナミの好きは本当に俺と同じ意味なのか?
仲間的な意味なのかもしれない。もっと別の家族的な意味かもしれない。はたまた『隙あり』的な訳のわからない『隙』という言葉だったのか……いやでも、そういえば俺と同じ気持ちってナミは言ってくれた。
つまりはやっぱりそういう意味であってるのか?
「……」
「……」
ナミが俺を見つめている。
顔が赤い。
すごく可愛い。
これはびじかわいいとかじゃなくて、ただただ可愛い。
「……先約がいるって言ってたのは?」
色んな疑問が浮かんで、消えて。
やっと絞り出したのは、俺を悩ませた先約という人物。それだった。
「……先約?」
まて、なんで首をかしげる。
「俺とナミが初めて再会したとき、ナミが『私には先約がいる』って言っただろ?」
「……」
ナミが怪訝な顔を。
顎に手を置いて唸りだした彼女の次の言葉を待つ。
その待ち時間が……長い。
心臓が飛び出るんじゃないかと思うぐらいに心臓が跳ねる。多分、たぶんだけど腹から流れる血の量もちょっと勢い良くなってるんじゃないだろうか? ちょっとシャレにならないぐらい俺は今緊張してる。
こんな時だというのにさっきから俺の中にある眠気は一向に覚めないし。
「あっ」
ナミが声を漏らした。
「そっか……そういえば私……言っちゃってたのか」
小さく、ナミが呟く。
顔を俯
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ