番外14話『激情晩』
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けど、またナミに腕を抱え込まれて、妨害されてしまう。
「頼むよ……やらせてくれ」
「だから、なんでこんなことしてんのよ!」
「……」
放っておいてくれ。
言いたかったけど、それよりも先に「言え! ハント!」
……怒られた。ものすごく。
怖い。
言いたくないけど、それ以上にナミが俺のことを考えて怒ってくれているんだと思うと、口が勝手に開いていた。
「自分が……許せないんだ」
「……許せない?」
「ナミも、ルフィも……みんなが力を尽くしたのに俺だけ何もできなかった。いや、出来なかったとかじゃない……やらなかった。だから、許せない。自分で自分を殺したいぐらいに情けなくて、悲しくて……そう思う自分にすらムカついて。そう思ったらこんな怪我で力を尽くせなかった俺が許せなくなって……んで――」
「――さっきの場面にいたるって?」
「……そういうこと」
口に出すと、本当にいろんな意味で情けないと思う。
「……」
左腕を抑えているナミをゆっくりと引きはがして体を反転、ナミと正面に向き合う。ナミと視線がかち合って、あとはもう思っていたことが勝手に漏れていた。
「俺は、さ」
「うん?」
「最初はナミが好きだから、ただナミと一緒にいたくて仲間になっただけだった。あいつら楽しそうな奴らだったし――」
「ぇ」
「――けど気づいたら本当にあいつらのことも好きになってて、仲間でいたいって思うようになってて……で、その結果が今で……だから、俺は自分が許せない。許せないんだ」
左拳に気付けば力がこもる。
……ん?
ナミの手が俺の左拳にそっと添えられていた。
「……ハント?」
「……」
黙ってナミに見つめられる。
なんか、距離が近い。
なんだろう、この間は。
「この――」
ナミがゆっくりと笑顔になって、俺はどうしたらいいのかわからなくて首をかしげる。
と。
「――バカ!」
「んごっ!?」
ナミの拳が俺の顎を捉えた。
相変わらずいい拳している。
変な声は出るし、頭はふらふらするし……頭がふらふらするのは血が足りないとかの方じゃなくて三半規管が揺れた方の意味で。
――いったぁ。
情けない俺に、やっぱりナミも怒ったんだろうか。
……そりゃそうだ。
もしかして嫌われてしまったのかもしれない。
仕方ない、なんて思いたくはないけど、今回ばっかりは愛想をつかされても何も言えない。
「……ほんと、バカね」
あれ?
「……ナミ?」
抱きしめられていると理解するのに少し時間がかかった。
どういう状況だ?
ちょっとわけがわからない。
「あんたが何もしなかったって……本当にそう
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