番外14話『激情晩』
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に対して怒りが湧き上がる。
拳が痛い、動かない。今の動きで腹も痛い。けど、それ以上に胸につっかえた何かが痛い。
なんなんだ。
俺はいったい、なんなんだよ。
麦わらの一味として、彼らの仲間として……俺はなんだ?
左腕に巻かれた包帯を右手で剥がす。力が入らない右拳がむかつくから、無理やりに力を入れた。右拳から骨がきしむ音が聞こえたのはきっと気のせい。
包帯の外れた左腕からは×印が見える。
これは仲間の証で、俺は仲間のはずなのに。
仲間らしいこと一つもしないで仲間だなんてよく言えたものだ。
あれだけ嬉しかったこの仲間の証が今はもう重たくて、それ以上に俺にはその資格すらないように感じられた。
「どこが……仲間だ」
爪で、バツ印をひっかく。
「……」
力が入らないせいで、全然傷がつきそうにない。
「っ」
仲間の証を傷つけることを本能が拒否しているかのようにすら感じた。
仲間の資格なんか俺にはないのに。
「……なんで」
なんでこうなった?
何が原因だ。
砂嵐に気を取られたせいか? けど、あの砂嵐は消さないとユバに向かっていた。あの行動だけは後悔する気にはならない。
じゃあなんだ?
考えて、すぐにわかった。
クロコダイルに負けたこと自体も許せないけど、それ以上に心にひっかかっていることがあった。
再戦を諦めたことだ。
じゃあなんで俺は再戦を諦めた? 俺がクロコダイルとの再戦を諦めて、クロコダイルをルフィにすぐに任せた理由はなんだ。
右拳が割れている? 違う。
右足に力が入らない? 違う。
体を動かそうとすると痛む、ぱっくりと割れた腹? ……これ、か? 考えるまでもない、これだ。これを理由にして、俺は心まで負けを認めてしまったんだ。
気付いてしまうと、体はもう勝手に動く。
左手で大げさに巻かれた包帯を強引に剥がして、大げさに縫ってある腹の傷を見つめる。
「こんな……こんな傷でっ!」
俺は諦めた。
ルフィたちの仲間であることを。
約束を守ることを。
王下七武海を超えることを。
ナミを守ることを。
「何が……強くなる、だっ!」
左の拳を振り上げていた。
やめた方がいい。
理性が働いて、でも思ってしまった。
ルフィは勝った……2度もクロコダイルに瀕死にされておきながら。俺は負けたのに。
それが許せなくて、だから。
拳を傷へと振り下ろした。
「……っ」
腹から血が漏れた。
痛い。
痛いなんて、俺に思う資格なんかないのに。
――ゾロは勝った。
腹にすさまじいまでの切り傷を負っていたのに。
けど、俺は腹に傷を負ったくらいで諦
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