番外14話『激情晩』
[12/12]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
は添えられていない。
なぜならナミはそっぽを向いて、俯いていたから。
「……ナミ?」
どうしたんだ?
そう言おうとして、けど先にナミが「……ずっと待ってたんだから、あんたのこと」すさまじい爆弾を投下してきた。
ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
ちょっと拗ねた声が超可愛くてしかも超可愛いことを言ってくれてるんですけどおぉぉぉぉぉぉぉ! クロコダイルの砲弾よりもでかいのがきたぞこれ!
俺に処理できない級だ。
あまりにもナミが可愛くて、だから――
「きゃ」
――ナミをまた抱きしめる。
ナミもまた驚いたようだったけど俺の背中に腕を回してくれる。だから――
「好きだ」
――また、言った。
今度は事故とかで本音を漏らしたとかじゃない。
「ナミのことが好きだ」
しっかりとナミのことを想って。
ナミのために。
ナミに――
「俺の……俺だけの……っ俺だけのナミになってくれ」
――告白を。
ナミが俺のことを想ってくれているとわかっても、やっぱりこう……うん、緊張するね、こういうのって。
心なしかナミの俺を抱きしめる腕の力が強くなった気がする……気のせいじゃなかったらなんだか嬉しい気がする。告白というかプロポーズ的な言葉な気がするけど……まぁ俺的には大差ないから間違った言葉ではない。
「うん…………っはい!」
ナミの言葉が弾けた。
まるで本当に俺のプロポーズを受けてくれたみたいな、そんな返事。
ナミの声が上擦っていたから、もしかしたらナミも緊張してたのかもしれない。なんとなくだけど、そうだったら嬉しい。
「緊張……したぁ」
「うん……私も」
「はは」
「ふふ」
二人で顔を見合わせて笑う。
あぁ、これからはこういう時間がいっぱいあるんだ。そう思えた。
すごく幸せで、そして、それ以上に――
「あ」
「ハント?」
――眠い。
「ちょ……ハント! ハント!? って傷! ……あぁ、そういえば血だらけで……って私の服まで真っ赤!? どんだけ血を流したら……医者! チョッパー呼んでこないと!」
なんだか、ナミが騒がしい。
こういう時は静かにしてても……ん? あれ? ナミはどこに行った? 耳が遠いし……っていうか体の感覚もないぞ?
「……んで来るから! ……っと……さ――」
ナミがどこかに行ってしまう。
それを止めたくて、無くなってしまった感覚のままに手を伸ばす。
ばしゃり、と。誰かが水たまりに倒れるような音を聞いた気がした。
倒れたのがナミじゃなかったらいいな、なんとなく思ってそのまま何も聞こえなくなった。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ