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Angel Beats! the after story
不幸以上の幸福を
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…………」

何もアクションがなかった。ゆりっぺはもう一度ドアをノックすると。

「ゲーム中はノックすんなっていつも言ってるだろ!!集中できねぇだろうが!」

本当に自宅警備員をこじらせている野田がドア一枚向こう側にいた。姿は見えないがその懐かしい声が死後の世界の記憶を鮮明に蘇らせてくれる。その感覚は俺だけじゃなくゆりっぺたちも同じように懐かしむようにその声の主の姿を想像しているのだろう。

最初に声を発したのはゆりっぺだった。

「残念だけどさっきのノックはあなたのお母さんじゃないわ。………野田くん」

「じゃ、じゃあ誰だ!」

家族以外の誰かが部屋の前にいることが信じられないのだろう。そもそも、家に訪ねてくる友達がいるのなら最初っから引きこもってはいない。

「今ここにいるのは野田くん、あなたの仲間よ」

セリフとしては三流なんだろうが、ゆりっぺが言うと力がある。それに惹かれたのは野田を含む俺たちなんだろう。

「俺が仲間と呼べるのはネットの中の奴らだ……」

突然の来訪者に戸惑いながらも答えたその言葉は重みがあった。味わったやつしか分からない重みが……。

「そんなことないですよ野田先輩!」

「少なくとも僕たちは野田っちの仲間ですよ」

野田の発言を否定する二人。だが返事がない。

「どうするんだゆりっぺ?」

部屋に大きな音が聞こえた。

「ゆりっぺを知っているのか!?」

俺の何気ない発言に野田が食いついてきた。野田のお母さんの話は本当にらしく、唯一ゆりっぺという単語が記憶に焼き付いているらしい。

「ああ、ゆりっぺはここにいる」

「ほんとなのか!」

「嘘じゃねぇよ。ここにいるから少しドアを開けて確認してみろよ」

「………わかった。ゆりっぺをドアの目の前に立たせろ」

「わかった。頼むゆりっぺ」

コクリと頷きドアの前に立つゆりっぺ。そして、ドアがほんの少し開き隙間から瞳が確認できる。
瞳がゆりっぺを見たとき大きく瞳が見開いたがすぐに元に戻り、ドアが閉じられた。

「……が……」
微かに聞こえる野田の声。

「………が………う」

「どうしたんだ?」

「俺の記憶のゆりっぺじゃない!!偽物だ!それは、ゆりっぺじゃないエセっぺだ!」

???。
「どういうことですか?」

「僕にもさっぱり」

わからない。一体どういうことなんだ。確かにドアの前に立っているのは正真正銘の我らがリーダーゆりっぺだ。それを偽物と否定する野田がよくわからなかった。

「おい、お前の記憶のゆりっぺってどんな感じなんだ?」

「俺の記憶のゆりっぺは可愛い」

「私も可愛いと思うのだけど?」

「もっと可愛い」

ドン!とド
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