アカデミー編
運命
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よれば、日向宗家が分家のものに施す呪印らしい。それは宗家の結ぶ印に反応して、分家のものの脳神経を刺激するそうだ。
西遊記に出てくる悟空の金冠のようなものだ。あるいは、ダンゾウが根の構成員に仕込んでいる呪印か。
この呪印がある限り、ネジは宗家に逆らうことはできず。そして、その運命にのまれたネジの父もまた、宗家の身代わりとして死んでしまったらしい。
ネジはそうやって決められた運命に、最初は抗おうとしていたらしいが、今では諦めて、それを運命だと決めつけてしまったらしい。
ネジは少しだけ、馬鹿だなとそう思う。
いくらでも、変えられるのに。
ネジがたとえ分家でも、彼の額に刻まれている呪印は分かりやすいものだから、それなりに術の構成がわかれば、その呪印を封じることは容易だ。
現にカトナは、ネジが頼みさえすれば、その呪印をいくらでも封じることが出来る。
大体、分家だとか、宗家だとか、そんなものは一度忍びになってしまえば、通じはしない。
忍びとは忍び堪える者であり、里を、国を第一に思うもののことだ。誰かを守るために、自らの命を賭けることが出来る大馬鹿者の総称だ。
だから、そんな原理が通じるのは子供の時だけで、大人になれば、いくらでも変えられる。
それに、ネジが運命だなんだ決めつけているから駄目なのだ。
運命だというのならば、それを受け入れるために思考を変えればいい。
たとえば、ネジ自身がヒナタを好きになってしまえば、ネジがヒナタを守るのは運命ではなく、自分の意志となる。
ようは、なにもかもとらえようだ。
でも。
きゅっとカトナは教科書を握った。
ナルトはかえられないのだ。
ナルトは九尾の人柱力だ。
木の葉の里の人間から嫌われている九尾を、その身に宿しているというだけで、彼等から排他され、罵倒されている、大切な自分の弟。
ナルトは何も悪いことなどしていないのに。なのに、ナルトの周りはナルトを排他する。
カトナがナルトの身代わりにならなければ、きっと今頃、ナルトは更に汚い悪意を向けられていた。
九尾から解放されるということは、それはつまり、九尾をナルトの体から出すということで。
だからといって、ネジのように、ナルトは自らの運命を変えられるわけじゃない。
それはつまり、ナルトの死を意味する。
だから結局、ナルトは九尾の呪縛から、逃れられることはできないのだ。
「でも」
それに比べれば、ネジはなんと恵まれているのだろうと思う。
ネジはまるで自分こそが世界の一番不幸な男だというように、そんな風に語るけど、ネジが蔑視している日向ヒナタだって、きっと苦しんでいる。
誰だって、当たり前に苦しんでる。
けれど、その中で、ナルトこそが世界で一番、不幸になる
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