アカデミー編
運命
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だろう。
少し迷ったあと、自分なりの考えを出す。
「変えられる子と、変えられない子。ううん、変わらない子がいると、思う」
そうか、と。
その答えに、ネジはそう返事をして、教科書に目を落とした。
それに倣うようにして自分の教科書を開く。
カトナはネジの問いかけを頭の中で反芻し、それから不思議な考えをする男だなぁと彼を評価する。
カトナは日向家のことを詳しくは知らないし、ネジのことだって、よく分からない。
大人たちがカトナに教えてくるのは、ナルトに向けられるはずだった悪意くらいだ。あとは、どろどろとした政争か。
ダンゾウのことを思い出したカトナは内心、眉をひそめた。
志村ダンゾウ。木ノ葉の暗部養成部門である根の創設者であり、リーダー。忍びの闇の代名詞。
あの男ときたら、どこから鍵つけたのか。カトナが九尾の人柱力ではなくナルトが本物の九尾の人柱力であることを見抜いて、噂を広めようとしたのだ。
おかげでカトナは、あのダンゾウと一騎打ちにしなければいけなくなって、それはもう、大変だった。
ただ、カトナとは決して相いれないわけではなかった。
少なくとも、里こそが第一に優先すべきもので、必要ならば人も部下も己も火影も犠牲にするという論自体には、カトナは賛成派だ。
特に感情削減論は同意できた。
忍びに必要なのは、自己を犠牲にしてもなお、己の里に奉仕する心だ。
忍びとは忍び堪えるもの。
ゆえに、忍びに必要な素質とは、己の感情を殺し、なくすこと。
カトナの父も母も里の為、国の為、尾獣バランスの為、死を選んだ。ナルトを人柱力にすることを選んだ。
そう、あれこそが忍び。あれこそが正しい忍び。
カトナが目指すべきもの。己の感情など、数多の条理の前ではすべてが無意味。
そう、忍びにはいらないのだ。
あの日の自分が、それを分かっていれば。
そう思った瞬間、がくんっと頬杖をついていた手から頭が滑り落ちる。
隣にいたネジが驚いて瞬きをした。
慌てて体勢を戻したカトナは首を振る。ぶんぶんと首を振って、意識をはっきりさせた彼女は、何を考えていたんだっけと思考を振り返る。
そうだ、ネジのことを考えていたんだ。
そう思いだして、日向家の方に思考を移す。
先ほどまで考えていたことは、完全に彼女の頭から吹っ飛んでいた。
カトナは日向家のことを詳しくは知らないし、ネジのことだって、よく分からない。
けれども、日向家には宗家と分家があって、宗家である次期当主のヒナタを、分家であるネジが守らなければいけないということくらい、分かってる。
この前見せてもらった額の模様を思い出す。
ネジの額には呪印が刻まれていた。
卍という形をした呪印。
聞くところに
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