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しろ
しもべとご主人様2
[前書き]

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「おいっ!探したぞ!」

男がイカをさばき始めたところに、少女がやってきた。
中途半端に膨らんだ浮き輪を俺に向けて突き出す。膨らませということだろう。
無言で受けとり、俺が膨らまし始めると、男が口を開いた。

「ご兄妹でご旅行ですか?いいですねぇ」
「兄妹じゃない。この男は私のシモベだ」
「はい?」

男が笑顔のまま首をかしげる。「彼女」は胸を張って言った。

「公園で見つけて拾ったんだ」

「あの、恥ずかしいからあんまり人に言わないでほしいんスけど」

しっかりとうさぎの形に膨らんだ浮き輪を手渡すと、少女は満足げにそれを装着した。

このお子様…もとい、俺のご主人様は、名を「稲葉べにこ」と言う。
私立フシミガオカ小学校に通う小学4年生だ。
彼女の言う通り、俺は、彼女に拾われた身である。

「なんだかおもしろそうなお話ですね。ぜひ聞かせてください」

イカを焼きながら、男がにこやかに言った。

「ふふ、いいだろう。聞かせてやる」
「やめてくださいって…」

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