第六十一話「異質な適合者」
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。お前達のせいであの後面倒が山積みだったよ」
「……………その時は参加しなかったが、それはすまなかった」
「お前達は何が目的だ? 何故、人類の敵になる? お前達だって元は人間だったはずだ」
「…………少し違うな。我々は“人類の敵”じゃない」
「………………現在の“感染地域の隔離”と“人類の維持”だけで世界を維持していくのは非合理的だ」
「…………感染する人間を絶やせば、コープスウイルスによる被害は無くなる」
「…………………人類がいなくなった後の世界を立て直すのは我々適合者の仕事だ」
アクエリアスの話を聞いたタガートは、スコーピオの考えを理解した。
それを一言で言うならば“歪み狂った正義感”。
どういう経緯で適合者になったのかは分からない。
しかし、適合者になったフィリップの中で正義感は歪んだ。
残酷な現状と、それを覆す怪物のような力が、フィリップを“スコーピオ”に導いた。
「お前達のリーダー……スコーピオだったか? 彼はそれが正義だと信じているのか?」
その質問にアクエリアスは面倒そうに答える。
「……………さあ? 適合者になったってだけで“レアヴロード”に入れられた自分にはさっぱり……」
それを聞いたタガートは拍子抜けした。
なんなんだ、こいつは。
今まで戦ったどの敵よりも強いだろう。目の前の男から感じられる気配はかなりのものだ。
だが、敵意や殺意といったものがまるで感じられない。
こいつは本当に俺達を殺す気があるのだろうか?
「…………自分は面倒が嫌いでな。戦闘行為やその他の仕事は他人任せだ」
「………………だが、まあ………指示された以上は……仕方ない」
タガートは咄嗟に回避行動をとった。
直後、アクエリアスの指がタガートの頬を掠めた。
「ッ!?」
前転して体勢を立て直したタガートの視界に入ってきたのは………
左手を突き出したままこちらを見つめているアクエリアスの姿。
引っ掻こうとしたのか、頭を掴もうとしたのかは分からないが、明らかに殺すつもりの攻撃だった。
今の今まで感じられなかった殺意が、一瞬だけだが背筋が凍るほどに増大した。
「お前………一体……!?」
「……………………各地で同類達が戦闘を開始したようだな……面倒だが、まあ……仕方ない」
「………………死ぬ気で来い、雑魚共」
アクエリアスの表情が激変した。
全てが面倒臭いといった無気力な表情が嘘のようだ。
“殺してやる”という意思が明確に分かる表情に変わっていた。
「ぼさっとするな。武器を構えろ。こいつは今まで戦ってきた奴らとは違う」
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