番外13話『終戦』
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るだろう」
マジかよこの人マジだよ。
しかも一人でやる気だし。
「……わかった、やるよ。俺も手伝う」
「いやしかし――」
「――残り5秒になったら俺が爆弾を全力で投げる。で、すぐに俺たちは逃げる。この方が距離稼げるからまだ安全と思う」
「……投げる? このどでかい砲弾を?」
「ん? ……うん。怪我のせいでちょっと距離とか速度は落ちそうだけど、まぁこのぐらいの重さならある程度の距離は稼げるんじゃないかな」
「……そ、そうか。わかった」
なんでか戸惑ったような顔で頷いて納得してくれたペルさんだけど、すぐにまた首を傾げた。
「いや、だがここまで死力を尽くしてくれた君にそこまで危険なことをさせるわけには――」
「――一応ペルさんは命の恩人だからさ。ペルさんが危険がことをするなら放置するのはやっぱり嫌だ……あと、まぁペルさんの作戦でうまくいくならそれが俺も一番嬉しいし」
「ハント君……ありがとう」
ペルさん全部真顔だからこっちが照れる。
なんて話している間に
残り時間はもう2分。
「いくぞ、ハント君!」
「了解!」
言葉通り、ぐんぐんあがる。
そういえばみんな今頃必死になって爆弾探してるんだろうか。
大砲を見つけたはいいけど砲弾が見つからなくて焦ってたら……申し訳ないけどちょっと面白いかも。いや笑いごとじゃないから面白いとか言ったら殺されそうだ。砲弾運んでくるってちゃんと言えればよかったけどあの時はそんな余裕なかったしなぁ。ま、仕方ない。みんなもわかってくれるだろう。
「ハント君、残り時間は?」
促されるままに爆弾の時計を確認。
「爆発まであと30秒」
ペルさんの限界高度まで到達した。
わずかにそこで静止。
5キロ以上は離れているのに、風に乗って聞こえてくる戦争の音がどこか虚しく胸に響く。
「……」
「……」
黙り込む、ただ時間がくるのを待つ。
そして。
「残り10秒……8……7――」
「いくぞ! ハント君」
「おっしゃ!」
これが最後のふんばりだ。
ペルさんが爆弾を捨てる。同じく、爆弾に掴っていた俺も自然と落下が始まる。
――あと6秒。
爆弾を右手に添えて、ただ全力ではるか彼方へと「おおおおおおおおりゃあああああああああ!」投げ捨てた。腹の傷に腕がすくみそうになる。けど、俺に出来ることはもうきっとこれだけだ。だから、必死にそれらを無視した。
腹の傷を無視して投げた爆弾はなかなかの勢いではるか上空へと飛んでいく。落下をつづける俺はペルさんの背中に拾われてそのまま爆弾から遠ざかる。
「4……3……2……1」
そして。
空中で閃光と轟音。
「……」
「……」
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