番外13話『終戦』
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あ100歩譲ってもいい。俺が――この体で勝てるかは別にして――再戦を挑めばいいんだから。けど。次の言葉だけは聞き捨てならない。
「バカ言うな。どうやってお前がクロコダイルに勝つんだ」
あのクロコダイルに、ルフィが勝つ?
はっきり言って無謀以外の何ものでもない。
もしも俺の体が重傷を負っていなかったら唾をまき散らして怒鳴りつけているところだと思う。多分今それをやったら腹の傷がまたぱっくりといきそうだ。
……あれ?
そういえばこの傷を誰が手当てしてくれたんだろうか。拳も足も腹も包帯が巻かれている……いや、たぶん今俺たちを運んでくれているペルって人がやってくれたんだろう。となるとクロコダイルに敗北したっていうルフィを助けたのもこの人か。応急処置だろうがなんだろうが、本当にありがたい。
……頭が上がらないな、これは。
「カラカラのおっちゃんがくれた水が教えてくれたんだ……あいつの弱点を」
「……弱点?」
「ああ」
クロコダイルの弱点?
俺は戦っていてそれらしきものを見つけられなかったけど、ルフィは見つけられたのだろうか。
と、そこでルフィが大きな樽を背負っていることに気づいた。
「……それは?」
「水だ」
「水?」
「あいつは水に触れたら砂になれなくなるんだ」
悪魔の実の能力の相性。
その弱点。
それが水。
なるほど。それがルフィにとっての突破口か。
けど、水樽があるからといって、その弱点を突いたからと言ってクロコダイルを倒せるとは限らない。ルフィはただクロコダイルを殴れるという、いわばやっと土俵に立っただけの状態だ。
しかもその土俵は、水樽を壊されればまた瓦解してしまうという脆い土俵でしかない。
「これでもう負けねぇ!」
ルフィは自信をもって言うけど、まだ俺が戦った方がクロコダイルに勝てるはずだ。
「水があるからってクロコダイルに勝てるとは限らないんだぞ?」
「わかってるさ」
「わかってない! お前は無茶す、ぎっ――」
「……ハント?」
「――っ」
ちょっと大きい声を出そうとした。
それだけでどうやら腹の傷が開いたらしい。
「ほら見ろ、今のお前ぇじゃもうまともに戦うことも出来ねぇじゃねぇか」
しかも、普段のルフィは鈍いくせになんか今日は鋭いし。
これで勝てるだろうか、クロコダイルに。
右足の自由がきかなければ右拳も力が入らない。ちょっと動けば腹が破れる。
考えるまでもない。
不可能だ。
どうやら任せるしかないらしい。
「……わかった。ルフィ、お前に任せる。頼んだ」
「おう!」
強く答えるルフィの言葉を、俺は信じるしかない。
それが歯がゆくて、情けない。
「見えてきた
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