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絶望と人を喰らう者
第二話 三
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る。
 それから、前のデセスポワールを見据えて、ゆっくりと右手を前に出した。

「ほ、本当は…… あまり、使いたくなかったんだけどね…… 今日は特別だよ!」

 結月がそう叫んだ刹那。
 彼女の右手が真ん中から大きく裂け、多くの血と共に、骨のような、白いブレードが姿を現す。
 結月のそれは、ナナシが右腕から生やしたあのブレードと似ていた。
 そのブレードを彼女が出した瞬間、結月の腹部にある大きな傷口が素早く修復され、右手から人間では無い何かが飛び出している事を除けば彼女は無傷になっていた。

「ゆ、ゆづき…… さん?」

「アリスちゃん、ごめんね。私、ナナシとは違うけど…… 私も化物なんだ」

 彼女はアリスに寂しそうに笑いかける。
 結月の左目にはまるでデセスポワールの身体にあるようなコアが埋め込まれており、美しかった顔が左顔の部分だけ血管が脈打ち、ドクンドクンっという心臓のような音を奏で、左目と合わせて醜悪な感じに変貌していた。
 彼女はすぐにアリスから目を離し、ナナシを捕らえているデセスポワールにブレード状になっている右手を構えて、その右手から電撃を放った。
 結月の放った電撃は見事、敵の身体に命中し、デセスポワールは悲鳴を上げて、ナナシの身体を手放す。
 ナナシは一瞬彼女にこくりっと頷くとすぐに敵から離れて距離を取った。

「あいつに近づくのは危険だな」

 ナナシは当たり前の事を呟く。
 すると、近くでナナシの言葉を聞いた天羅が驚いた。
 何故なら、今まで一言も発さなかったうえ、しかも化物状態の彼が口を開いて人間の言葉で喋ったからだ。

「お、お前! 喋れたのか!?」

「俺と同族の奴を喰らったからだろう、確かデセスポワールだったか? ともかく、そいつを喰らって知識を得た」

「なんだと? 全く、結月が適合者だという事も驚いたが、お前も大概だな…… お前達の生態は一体全体どうなってるんだ? 謎しか無いが」

「気をつけろ、死ぬぞ」

 見れば敵は何やら形を変えて、包丁みたいなものをいくつもある手が全部握っていた。
 そして、その鋭利な武器をナナシと天羅に向けて放つ。
 天羅は素早く銃を構えて自分に向かってくる飛翔物を的確に撃ち落とした。
 ナナシも敵の攻撃を自分の尻尾で薙ぎ払い、飛翔物の一つは敵に打ち返した。
 彼の打ち返した包丁が自身の身体に突き刺さり、デセスポワールは少しだけ身をよじる。

「こいつらは同族、又は自身の攻撃に弱い」

「なるほど…… しかし、特殊弾の成分は確かこいつらの死骸から摂取して作られた弾だが、何故それが効かないんだ?」

「死んでるからだろう、細胞が。弱い同族ならそれでも充分死ぬだろうが、今戦っている奴らには効かんぞ」

「それは
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