第二話 三
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士がデセスポワールに銃を撃ち続けるが、相手は全く効いていなかった。
どうやら、例の特殊弾が効かないデセスポワールらしい。
「おい、しっかりしろ! 結月!」
最初に相手をした結月は倒れていた。
デセスポワールの攻撃を喰らったのだろう彼女の腹部にはポッカリと穴が空いており、そこから内蔵が見えている。かなりの重傷だ。
天羅は突撃銃を敵に向かって乱射し、狙いを自分に付けさせ、すぐに生き残っている仲間に早口で結月を介抱するように命令すると、デセスポワールへ向かっていった。
アリスは自分を助ける為に身代わりになった結月の次に、今度は自分を助ける為に玉砕覚悟で囮になろうとする天羅を止めようと、声を出そうと口を開いたが、もう止める間もなく天羅は敵と肉薄していた。
天羅や結月の味方は前回の戦闘で被害を受け、更に今回の襲撃と重なり、ほとんど全滅寸前まで数を減らしている。
それにより、天羅は自分を囮にするしかアリスや他の怪我人を助ける術が無いと思って、行動したのだ。
このままでは結月だけじゃなく、天羅も死んでしまう……!
「ナナシ…… たすけて!」
アリスは藁にも縋る思いで、ナナシに助けを求めた。
すると……
「アリス、来たよ」
「ナナシ!」
ナナシは無表情のまま彼女の前へ現れるや、こくりと頷いた後、すぐさま人間の皮を脱ぎ捨ててデセスポワールの姿になる。
そして、天羅へ襲いかかっていたデセスポワールへ彼は素早く近づくや襲いかかった。
だが、デセスポワールはいくつもある手で身体をガードするや、飛びついてきた彼を捕んだ。
マネキンのようなデセスポワールは殺した人間のように彼の前足と後ろ足を掴んで引きちぎろうと、ぐっと力を加える。
「あれはまずい……!」
天羅はいくらなんでもデセスポワールの中で華奢な体型をしているナナシが、あの攻撃に身体が耐えられるわけが無いと思い、助けようと銃を発砲する。
効かないと分かっても、せめて、衝撃でナナシを落とせればと思い攻撃したが、彼の行動は徒労に終わる。
「うっ……あっ……」
「結月さん、動かないでください。出血がひどいですよ!」
「あ…… だめだよ、ゆづきさん!」
結月は目が覚め、身体を起こす。
身体を起こした瞬間、彼女の腹部にあるぽっかり空いた穴から血が大量に吹き出した。
それを目にし、すぐに介抱を命令された兵士は彼女を止めようとするも、彼女がそれを拒む。
そして、結月は歯を食いしばって、立った。
「ま、任せて…… アリスちゃん…… 私はそう簡単に死なないよ」
彼女は額に汗をびっしりと張り付かせながらも、口を両手で押さえて青くなっているアリスに心配かけないように必死に偽りの笑顔を作
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