第二話 一
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一匹残らず駆除してな」
彼はそう言うと、一呼吸置いて、アリスに近づいて彼女の両肩へ手を置き、ゆっくりと語りかけた。
「だから、その為にはナナシを捕らえてすぐにでも研究しないと。人間に化けるデセスポワールなんて聞いた事が無いからな…… だが、その前に四足の化物を先に捕獲しないと」
アリスは四足の化物という単語にビクッと反応し、天羅はそんな彼女の反応を見て、驚いた。
「もしかして、アリス嬢ちゃんは四足の化物を知ってるのかい? もし、本当の事を言ってくれたら彼の事は見逃してあげるよ?」
「み、みのがすってなに?」
アリスがナナシの事で話に食いついた時、天羅は罠に獲物が掛かったというような感じでニヤリと笑う。
本当はナナシの方も捕獲しておきたかったが、先に任務である四足の化物を捕獲しなければならない。
「つまり、ナナシには何もしない…… ころしたりとか、いじめたりとかしないっていう意味だよ」
「ほ、ほんとう? うそじゃない?」
「勿論とも、約束は必ず守る」
「え、えっとね!」
アリスは本当の事を言えば、ナナシには何もしないっという、彼の言葉を信じて先程まで打って変わった元気な声で本当の事を話した。
「ナナシがね、そのばけものになるとね、ねこちゃんとかうさぎさんみたいなよんほんのあしになるのー!」
その言葉を聞いて、天羅は勿論の事、結月も固まってしまった。
「こ、この少年が…… 依頼対象?」
結月は押さえつけられている訳でも無く、未だに倒れ続けているナナシに指を差して、驚く。
それは、天羅も同じ反応で、アリスの肩から手を離すと、今からどうするべきか頭を抱え始めた。
「全く、これは運命なのかそれとも神のイタズラか…… はぁ、全く」
彼が悩んでそんな事をボヤいていたその時。
「ん?」
ナナシが何の拍子も無く、首を傾げて突然立ち上がった。
いきなりの行動でアリスを除く、二人は彼の方へすぐに向き、腰のホルスターにある銃へ手を掛ける。
「ど、どうしたの? ナナシ少年?」
先程とは打って変わって、四足の化物が彼だと分かるや、結月は警戒心が籠った声で彼に質問した。
彼は結月の方へゆっくりと顔を向け、首を傾げる。
「あ、そっか。言葉が分からないのよね」
彼女は諦めたように苦笑する。
「しかし、何故突然立ったんだろう?」
天羅は危険が無いと判断すると、彼女へ頷いてアイコンタクトした後、ホルスターの銃から手を離す。
先程アリスに手を掛けないと約束したばかりなのだ、それにまた泣かれると自分が困る。
彼は内心、約束なんてしなければ良かったと思いつつ、彼女の疑問に返事をした。
「大方、気まぐれじ
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