第二話 一
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としないで!」
アリスは彼が取り押さえられたナナシを助けようと、慌てて天羅へ近づいて懇願した。
すると、天羅は訝しげにアリスを見て、彼女へ質問する。
「アリスちゃん…… こいつと君は一体どういう関係なんだ? まさか、君は化物では無いのだろう?」
「ナ、ナナシは…… にんげんじゃない! けど、わたしとナナシはおともだちなの! だから…… ねぇ、はやくやめて……」
アリスは柔道の関節技で拘束され、取り押さえられている見るに耐えないナナシの姿を涙目で見て、スカートの裾を力いっぱい掴みながら声を震わせて必死に天羅を説得する。
「何故、君はナナシが化物だと言わなかった? 先に言っていればこんな事にはならなかっただろう?」
「だって、だって…… ばけものだっていったら、いやだっていってもナナシをころしちゃうじゃない! いまもやめてっていってるのに……」
「……」
天羅はそんな彼女の言葉を聞いても、何も言わずに顔を背ける。
すると……
「彼女が必死に頼んでいるのに、離してあげなさい頑固者!」
今までただ観察に徹していた少女、結月はとうとう我慢が出来なくなり、天羅を強く蹴って、ナナシから退かせた。
ナナシの身体は自由になり、彼は不思議に思いながらも立ち上がった。
「お、おい、何をする!?」
「子供がさっきからやめてってあんなに必死に頼んでるのに、いつまでもナナシを取り押さえてるからよ!」
「当たり前だ! もしこいつが再び暴れたら俺達は皆殺しにされてしまうぞ!?」
「ずっと二人で居たであろうアリスちゃんも?」
「うっ」
天羅はアリスがナナシとずっと旅をしていたっという話を聞いていたので、彼女がその事を言うと、天羅は声を詰まらせて黙ってしまった。
彼女はこえ見よがしに溜息を吐き、彼に話しかける。
「取り敢えず頭を冷やしたら? 世の中、『適合者』っていうのも居るのだから、彼もそうなのかもよ?」
「あぁ、彼は適合者の可能性があるだろう」
彼は彼女の言葉に頷くも、青い顔をしながら、大きな声で自分の見た光景を思い出しながら語りだした。
「だが、俺はこの目で見たんだぞ、彼が死ぬのを……! 四足の化物に切り裂かれ、倒れたこのナナシという少年の最期を! なのに、こいつは生きている。しかも、化物になってな!」
彼はそう呻くと、適合者の説明を始めた。
「適合者、それは、危険と知りながらも自分の体内へデセスポワールの肉体を取り込む事だ。それにより、もし、デセスポワールの肉体が人間の身体に適応し、人間の身体の一部として機能するようになればそのデセスポワールの肉体から得た能力を人間が使用する事が出来る。しかし、もし…… いや、99パーセ
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