第一話 四
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かったね、お嬢ちゃん、お名前は? あ、失礼。先に私が名乗らないとね、私の名前は結月聖奈だよ。よろしくね!」
彼女はそう言って、先に元気良く自己紹介をし、ありすへ手を差し出す。
ありすは彼女の手を握り、おずおずっと自分も名乗る。
「ゆ、ゆめみ……ありす。です」
「ゆめみありす、ゆめみありす…… 苗字が夢見の人物か…… 私の部下には居ないねぇ。あ、そだ」
彼女はブツブツと呟くと、突然、頭の中で何かを閃いたのか手をパチンと叩くと、ありすに笑顔で話しかけた。
「私だけだったら力にはなれなかったけど、今回は私、軍隊の人と一緒に組んでるんだ! もしかしたらその人なら何か知っているかもしれないから、今から連れてくるね!」
「ぐ、ぐんたい? なにそれ?」
「君達力を持っていない市民を守る兵隊さんだよ」
聖奈はそう言うと、二人に近くの建物を指差して、そこで待つように言う。
そして、彼女はそのまま手を振って走り去った。
ありすはいきなりの事でちんぷんかんぷんだったが、彼女は頭にクエスチョンマークを浮かべつつも、取り敢えず聖奈の言う通りにする事にした。
「えっと、えっと…… とりあえずナナシ、いってみよっか?」
「うん」
結月聖奈へ待っているように言われた場所、そこは古ぼけた喫茶店だった。
喫茶店内は誇りっぽく、どのテーブルも埃が積もって、真っ白みたいになっている。
タンスやガラスケースにはまだカップ等が置かれており、ここが喫茶店だという名残りがまだ残っていた。
二人は扉を開けて店内に入り、ありすはカウンターの席へ座る。
ナナシも彼女の隣に座った。
「いったいへいたいさんってだれなんだろ?」
ありすはうさぎの人形で遊びながらナナシへ問いかける。
ナナシはいつものように首を傾げた。
「まあいっか、ねぇ、ナナシもうさぎさんでいっしょにあそぼー!」
ありすはそう笑顔で言うと、ナナシへうさぎの人形を手渡した。
ナナシは人形の手足をゆっくり引っ張ったり、お腹を潰してみたりして、興味深げに弄ると途中で飽きた。
そして、ありすへ返す。
ありすはナナシから受け取り、彼女は少々不満げだったがなんだかんだで一人でうさぎの人形を使い、遊び始めた。
それから数分後。
扉を開けて二人の男女が入って来た。
一人はどこかで見た覚えがあるが、知らない人。
もうひとりは、結月聖奈だ。
突然、扉が開いた事でありすは驚き、遊んでいたうさぎの人形を地面に落とす。
ありすは落としたうさぎを拾おうと席から離れようとしたところで、男の人がサッと素早く屈んでからうさぎの人形を拾って、それをありすへ手渡した。
「あ、ありがとう」
ありすは男
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