第一話 三
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りすは歓喜の声を上げた。
「わぁぁ、きれい」
本当はまだ見ていたかったが、先程からまだ、耳障りで不快な音がしており、ありすは渋々夜空から視線を外す。
雰囲気もへったくれもない。
そんな事を思いながら、音がした方へ顔を向けた。
「……」
暗がりで良くは見えないが、何かの生き物が、何かを食べている影を見る事が出来た。
ありすはその光景を見て、自分が前回気絶をした記憶を今更になって思い出した。
「ナ、ナナシがそういえば…… あ、じゃあいま……」
そこまで考えて、ありすは深く考える事をやめた。
今取り敢えず分かる事は、ナナシがお食事中だという事だ。
ありすはすぐにその光景から目を背けて彼に背中を向ける。
「ナ、ナナシ、なにをたべているの?」
ありすは彼が何を食べているか分かっては居る。
しかし、沈黙するのは嫌だったから、返事は無いだろうと分かっていてもナナシに問いかけた。
すると、今まで聴こえていた肉を喰はむ音がピタッと止まり、「グルル」っという、唸り声が聞こえた。
ありすはナナシが怒ったと思い、慌てて謝る。
「ご、ごめんなさい!」
しかし、ナナシはありすが突然謝った事に首を傾げて分からないっという表現をする。だが、ありすは背中を向けて見えていない。
彼は取り敢えず食事をやめて、自分が脱ぎ捨てた、少年の身体の下へ戻る。
そして、少年の皮の中に自分の身体を入れて、再び少年の姿に戻ってからありすに近づいた。
「ありす」
「あっ…… ナナシ?」
ありすは少年になっているナナシの声を聞き、すぐに振り返った。
彼女が振り向いた先には、すっかり人間の状態に戻っているナナシが居た。
その事にありすは安堵し、すぐに彼へ駆け寄って彼の胸へ飛びついた。
そして、泣きじゃくりながら、彼に懇願するように尋ねる。
「よかった、よかったぁ…… も、もう。あのひとたちをたべたりしないよね?」
ありすがそう言うも、ナナシは首を傾けるだけで何も答えない。
彼女はがくっと肩を落とすも、それでも、ナナシが普通のナナシで良かったっと心の中で思った。
でも、疑問も残った。
何故自分を襲って食べないのだろうか?
いくら考えても分からない。そういえば、あの時もそうだった。
ありすはナナシがあの昆虫型の化物を倒している場面を見ており、そして、男が逃げていったのも見ている。
ナナシなら、すぐに彼を追いかけて食べる事が出来たはずだ。
だけど、それをしなかった。
「ねぇ、ナナシ」
「うん?」
「なんでナナシはわたしをたべないの?」
「……」
決して彼は分からないとは言わなかった。首も傾げなか
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