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絶望と人を喰らう者
第一話 一
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て威嚇していた。

(こいつは……! 俺じゃなくて、あいつを狙っているのか!?)

 天羅は油断せず銃を構えながらも、威嚇し合う二匹の化物の攻防戦に見とれていた。

(今まで様々な化物達と出会ったが、仲間に敵意を向ける個体は初めて見たぞ……?)

「ギィィィィ!!」

「グルァァァ!!」

 四足の化物は敵の振り払った大鎌を跳躍して避けると、翻って相手に背中を向け、尻尾の刃で先程振って隙を晒した大鎌になっている右腕を目に見えぬ速度で切り飛ばした。
 飛んだ化物の右腕が、紫色の血を噴き出しながら天羅が居るほぼ真後ろの地面に突き刺さる。
 天羅はあの飛んだ右腕がほんの少し前へずれていたら自分の頭に刺さっていたと思うと、今日何度目かになる冷や汗が出た。

「全く、自分の悪運の良さがたまに誇らしく思うよ、こんな人類にとって貴重な場面を見ていて死んでたまるか」

 四足の化物は天羅に見られている事など、全然気に留めず。昆虫の化物に相対する。
 相手のあまりの力の差に怯んだのか、昆虫の化物は徐々に後退していき、逃げようとしていた。
 四足の化物は戦意喪失している敵にすぐさま追討ちを掛ける。
 四本の足を利用した俊敏な移動力で相手の間合いにすぐさま潜り込んだ四足の化物は、相手の頭目掛けて跳躍し、そのまま昆虫型の頭を鋭い牙で噛み付いた。

「ギィィィィィィィ!!」

 相手は頭を噛みつかれ、激痛で叫び声を上げ、その大きな身体を振り回す。
 だが、四足の化物はそれでも吹き飛ばされず、グッと顎に力を入れて相手の頭を噛み砕いた。
 昆虫の化物の頭のあった部分から紫色の血液や肉が飛び散り、辺りの地面に降り注ぐ。
 四足の化物は頭を潰されても未だに動きを見せる敵に止めを刺すため、尻尾で相手の胸部分を一突きした。
 すると、今までタフだった昆虫の化物は糸が切れた人形のように、倒れた。
 生き残った四足の化物はそのまま相手が動かなくなると、再び牙を立てて、そのままさっき倒した化物を食べ始める。
 そして、紫色のクリスタルみたいなもの、『コア』を取り出してそれも噛み砕いて咀嚼した。
 天羅はそれ見て、必死に口を抑えて叫びたい声を抑えた。

(化物が化物を喰ってるだと!? 今までそんな事例は見た事も聞いた事も無い、これは世紀の大発見だぞ!?)

 彼は是非ともこの情報を本部に伝えたいで胸がいっぱいだった。
 天羅はすぐに四足の化物が食事に夢中になっている事を確認すると、気づかれないように足音を立てず、気配を消しながらこの場所から離れようとする。
 ところが、四足の化物は気配を察知する能力がずば抜けて高いらしく、たった一度足を動かしただけで、天羅の方へ顔を向けた。

「グルルル……」

「あぁ、嘘だろ? クソッ
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