戯れ混じりの会談
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バカの妻でレアの母親のヘラだ。よろしく頼む」
……何かと思えばギリシア神話か。関係性があべこべだけれど……。
その内アテナとか出てくるんじゃないだろうな?
「ああ……俺はリン。こっちはユウキ。それで会談は誰とするんだ?そちらの代表と思わしき人物はあんたの足の下で伸びてるが……」
ゲシゲシと踏まれているグレイ。家庭内での力関係がよくわかるな。
……絶対にああはなりたくない。
「大丈夫さね。会談は元々あたしがするつもりだったから」
なるほど。インパクトでこちらに傾いた雰囲気を対等にしようという魂胆か。
殴られた際のグレイの表情をみるに夫には何の了解も得ずにやったんだろうな。
……可哀相に。
「なら、とりあえず座ってもらえないか?そちらが立っていて、こちらが座っていると少々申し訳なくてな」
「そうかい。なら遠慮なく座らせてもらうよ」
ニヤリと野生味溢れた肉食獣のような笑顔を浮かべ、テーブルを挟んだ向かいの椅子に腰掛ける。
物凄く男らしい女性だな、おい。
……なぜこんな凸凹夫婦が生まれたのか知りたい。
「さてと……時間は有限だ。早速本題に入ろうか」
「そうさね。なら手早く済ませようかね」
言外に無駄な演技はいらないと言ったのだが、どうやらきちんと理解できたらしい。
すぐさま対応を切り替えてくるのはさすがと言えるだろう。
「こちらの要求は単純だ。白イウムの住む領域に行きたい」
「うーん……そいつは難しい要求だねぇ」
ヘラは腕を組み、眉を顰める。
その様子は嘘をついたり、勿体振ったりしている様子ではなかった。
「なにかあるのか?」
「そもそも私らはこの洞窟内の地形しかわからないんだよ。そしてこの洞窟は直接白イウムの領域に繋がってるわけじゃなくてねぇ」
口ごもった理由はこちらの要求に応えられないが故のことか。
聞くにこの迷路の様な洞窟は入り口が一つだけしかないらしい。そして黒イウム達の集落が散在し、それを狙ってゴブリン達が来るのだとか。一応内部で生活できるだけのものがあるらしく、多くの黒イウムはそこから出ないんだと。
「……ならその入り口まで連れて行ってもらうことはできるか?」
「できなくはないねぇ。だが、やはり危険だからねぇ……」
チラチラとあざとくこちらを見てくるヘラ。
「……なにが言いたい」
完全に何を求めているかを理解したため出た、ため息混じりに言った俺の言葉に、ヘラは我が意を得たりと言わんばかりに頷くとニヤリと笑った。
「その要求の代わり……と言っちゃあなんだけど二つだけお願いがある」
二つか……。結構欲張りだな。
「聞くだけなら聞いてやる。受けるかは別問題だが
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