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邪炎騎士の御仕事
邪炎の産声
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の甲冑がどれほど強靭なものであろうとも、斬り裂けぬ道理はない。終わりだと誰もが思った。
 
 「……」

 だが、黒騎士は容易にその予想を覆す。無造作に剣を手で掴み取ったのである。そしてあっさりと剣は融解した。

 「なっ」

 愕然とするテンプルナイトを尻目に、再び黒騎士の凶椀が振るわれる。固められた拳がテンプルナイトの頭を打ち、スイカの如く爆砕する。鮮血と脳漿が飛び散るが、黒騎士にはつく前に蒸発する。圧倒的な黒騎士の戦闘力の前にメシア教の兵士達は息を呑み、身構えた。

 しかし、黒騎士の猛攻もそこまでであった。黒騎士を囲むように放たれた炎弾が四方八方から打ち、動きを止める。すかさず先に召喚されていた二体の天使パワーが斬りかかる。黒騎士はそれをいなしてかわしたものの、それを読んでいた女の追撃の炎弾で吹き飛ばされた。

 「下がりなさい!けして手を出してはなりませんよ」

 『神の火』の面目躍如というべき女の活躍であった。兵士達から歓声が上がるが、その実女は焦っていた。

 (焼けた感触がない……。物理的に吹き飛ばすことはできたけど、私の炎が通じていないというの?!)

 女の思った通り、あっさり何事もなかったかのように立ち上がる黒騎士。すかさずパワーをけしかけるが、その攻撃の尽くが空を切り容易にあしらわれてしまう。それどころか、何かを確かめるように遊ばれている始末だ。

 (火炎に対する絶対的な耐性を有しているということ?私のパワーが遊ばれるなんて、LV40オーバーの可能性が高いわね。まずい、私以外では相手にもならない。)

 パワーを仕留められそうになる時のみ炎弾で援護して妨害してはいるが、長くは続かないというのが女の結論であった。『神の火』の異名通り、女は火炎の扱いに特化した異能者であり、火炎を無効化するような相手とは相性が悪いからだ。

 かと言って、邪教徒相手に逃走など認められるわけがない。主の加護がある自分達が邪教徒に敗れるなどあってはならないし、屈するなどもってのほかだ。故に女は切り札を使う決心をする。

 パワーに念話で指示して下がらせる。すかさず、こちらを狙ってくる黒騎士に足を止めるべく、ありったけの氷結の魔法石を放り投げて足止めする。それもブフ程度ではない。ブフーラ、マハブフーラクラスのものをだ。

 さしもの黒騎士も、連続して襲い来る氷雪の嵐に足を止める。

 (炎を得意とするだけあって、やはり氷雪が弱点なのかしら。いえ、油断は禁物。ここは虎の子も使って、確実に切り札で仕留める!)

 「これはおまけよ、とっておきなさい!」

 彼女でも容易に手に入れることができない虎の子のブフダインの魔法石をトドメとばかりにたたきつけ、ダメ押しにパワーにメギドを連続して叩き込ませる。
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