第二話〜オクリモノ〜
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かっている。だから、僕は。
「うん、分かったよ。水銀燈も縛られてるんだね。」
「ありがとう、紫苑。」
そして、めぐの体を作っていた光が外側からハラハラと分かれていく。直感的に感じた。めぐはもう消えてしまう、やはり別れは避けられないのだろうか。早く、言いたいことを言わなくちゃ。
「めぐ!」
精一杯、彼女の名前を呼んだ。僕の考えは全部分かっていると言っていた。だから言わなくてもいいのかもしれない。それでも、言葉で伝えたい。伝えなきゃいけない。
「僕も連れて行ってくれ。」
めぐは満面の笑顔を見せてくれた。そして光がバラバラになっていく。めぐの姿が消えてしまうその時、聞こえた。
「また会えるわ、必ずね。」
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「めぐッ!」
上半身を勢い良く起こした。周りは僕の家のリビングだ。あのリアルな夢から覚めたのだ。時間は少し進んで4時ごろ、あれは本当の出来事だったのか。指を見ると指輪はまだ嵌っていた。たとえ今のが嘘でもホントでも、確認することがある。僕の中に一つの目的が生まれていた。
(水銀燈。めぐから贈り物、になるのかな。)
水銀燈に会わなければ、彼女も僕にあまり会いたくはないだろうが、それでも放ってはおけない。なによりそれがめぐの望みだ。僕は彼女へ向けたつもりで左手の指輪に祈った。
(めぐ、僕を、いや僕達をどうか見守っててくれ。今は静かに君を見送ろう。)
指輪が少し光った気がしたが、特に気には留めなかった。めぐはもう、いつでも心にいるのだ。
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暗い空間の中、紫苑のその様子が映画のワンシーンのように切り取って映っている。また、先程のジュンの様子も同様に。ここはnのフィールド。何処でもないし何処でもある。そしていきなりスポットライトが役者を映すように光る。奥から何者かが姿を現した。すらっとした体と細長い手足、黒いシルクハットを被り燕尾服に身を包んでいる。はたから見れば紳士的な格好だが、一つおかしいのは頭が兎、と言うところだ。兎は正面を向いて、こちらに向かいお辞儀をする。
「お久し振りでございます。お忘れの方もおいでかもしれないので一応、自己紹介を。私はラプラスの魔、でございます。はてさて、薔薇乙女達の物語、まだまだ終わりはしませんよ。彼女達が朽ちることのない限り。」
ラプラスの魔は水晶のような光を二つ出し、目の前に浮かべた。そこにはジュンと紫苑が映っている。
「2人の少年と青年の運命、これが今、重なろうとしています。しかしまだ、噛み合うまでの段階。物語の始まりに過ぎない。どうなることやら。ふふふふふ。」
ラプラスの魔はシルクハットを手に取り、軽く一礼す
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