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落ちこぼれの皮をかぶった諜報員
 最終話 勇は眠り、天は泣く 
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「!」


相馬が切りかかってくる。勇人はもう一度バックステップをして回避したがその瞬間――


ダンッ!!


「ぐう!?」


勇人は腹部に重い衝撃がかかったのを感じた。相馬を見ると、彼は左手に拳銃を持っていた。
いくら防弾制服とはいえ、接近した状態で射撃されたら大きなダメージになるだろう。


(補修があったおかげで助かったな。しかし銃を落としたまま忘れていたのは失敗だったか……まあ、僕の射撃能力じゃ、あろうとなかろうと関係ないか)


勇人の体からはまだ腹部の痛みが消えていない。その隙を突くかのように再び相馬は銃を構え、勇人の頭部に標準を合わせる。


「くっ……。させるかよ!」


勇人は痛みを堪え、懐から投げナイフを取り出し、相馬に放ち、相馬との距離を詰める。
だが、相馬は放たれたナイフを体を反らし回避する。


(今だ!!)


「!!」

相馬がナイフから勇人へ意識を集中した頃には、目の前で勇人が蹴りのモーションに入り、相馬の左手目掛けて右足を振り上げる。


ガッ!


勇人の右足は相馬の左手にある銃を弾き、銃は宙を舞う。

「むっ……」

しかし、相馬は宙を舞っている銃を目で追わず、右手のナイフを右から左へ走らせ、勇人の首を狙う。勇人も相馬の反撃に素早く反応してバックステップをする。


しかし、相馬の方が一瞬速かったらしい。首から血が垂れていくのを感じた。


「諦めろ……これが力の差だ。安心しろ、仲間にもすぐにお前の後を追わせてやる」
「黙れ……。誰も死なせはしねえ。あんた1人で地獄へ落ちてろ」


(この男だけは“表”に出してはいけない、この男が生きている限りきっと“裏”は消えない。たとえ刺し違えようと、ここで消す……。)



両者は再び、右手にナイフを構える。
今度は2人同時に地を蹴り、距離を詰め合う。
相馬はナイフを突きだす。それに対し、勇人は姿勢を低くしてナイフを回避する。
そのまま勇人は左肘を相馬の鳩尾に決める。

「……!」

しかし、相馬は苦痛で顔を歪ませながらも再び、左手で勇人の左腕を掴む。


(――!! こいつ……はなからこれが狙いか! 反撃を受ける前に……)


勇人は相馬の反撃を阻止するため、下段蹴りを相馬の右足に入れる。


「!」


相馬は素早く反応し、バックステップを取る。


(スピードは相馬の方が僅かに上か……恐らく、パワーは最も大きな差だろう。おまけにカウンターもお手の物だ。面倒だな……隙を作らせ、一撃で仕留める!)


勇人は走り出し、相馬に接近する。今度は勇人がナイフを振るフェイントを入れ、左手で拳を握り、相馬の顎を狙う。

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