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久遠の神話
第百六話 決戦の前にその十一

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「むしろあいつのせいで酷い目に遭った子達が可哀想だよ」
「その子達のことを考えたらですか」
「そもそもそんな奴は剣道したら駄目だからな」
「ですね、ましてや教えるなんて」
「論外だよ、本当に」
「そうですね、僕もそう思いますけれど」
 上城はその様な輩が剣道をすることはよくないとは考えた、だが。
「けれど人生を潰してもですか」
「ああ、全然な」
「そこは気にされないんですね」
「自業自得だろ」 
 それにあたるというのだ。
「俺じゃなくても他の誰かがそうしていたさ」
「人生を潰していましたか」
「そうなってたさ、幾ら日教組が隠してもな」
 悪事は何時か必ず露見する、だからだというのだ。
「そうなってたさ」
「ですか」
「そういうものだよ、それでだけれどな」
「はい」
「二刀流のことはわかったよな」
 中田は話を戻してきた、剣道のことに。
「手も大事だけれどな」
「足ですね」
「そこは同じだよ、剣士の戦いでもそうだろ」
「はい、確かに」
「だからな」
 それでと言う中田だった。
「もうすぐ最後の戦いだけれどな」
「足を使って、ですね」
「戦えよ」
「わかりました」
「それじゃあな、俺はちょっと外に出るよ」
 ここまで話してだ、中田は微笑みで上城に告げた。
「今日は午後は講義ないから時間を潰してくるさ」
「そういえば大学は講義あったりなかったりするんですよね」
「先生の都合でな」
 大学の教授や教える立場にいると生徒達に教えること以上にその研究や発表が重要になる、それでその都合でなのだ。
「なくなったりするからな」
「だから中田さんは今日の午後は」
「暇だからな、何処か行くさ」
「じゃあ僕達は」
 上城達は高校生だ、それでだった。
「高校に戻ります」
「授業だな」
「それに出て来ます」
「頑張れよ、そっちも」
「はい、わかりました」
 上城だけでなく樹里もだった、微笑んでだった。
 中田に一時の別れを告げてそうしてだった、彼等は分かれてそれぞれの午後の日常生活を送るのだった。いよいよ最後の戦いが迫ってくる前でも。


第百六話   完


                         2014・4・16
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