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久遠の神話
第百六話 決戦の前にその八
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「余計にいいわ」
「わかったよ、じゃあペペロンチーノもいいけれど」
「トマト忘れないでね」
「他のお野菜もね」
「そういうことよ、そういえばね」
「そういえばって?」
「評判の悪い人だけれどヒトラーもね」
 言わずと知れたナチス=ドイツの総統だ。圧倒的なまでの政治力と統率力、それにカリスマで権力を握った。
「スパゲティ好きだったそうよ」
「へえ、そうなんだ」
「菜食主義者だったそうだし」
「菜食主義者なのは聞いてたよ」
 ヒトラーがそうだったとだ、上城も言う。
「そうだったらしいね」
「それで多分だけれど」
「ヒトラーもトマト食べてたんだ」
「そうだったと思うわ、ヒトラーはイタリア好きだったし」
「へえ、イタリア好きだったんだ、ヒトラーって」
 スパゲティだけでなく、だ。ヒトラーは実際にイタリアをドイツの盟友にすべきとその著書である我が闘争でも書いている。
「ドイツだけじゃなくて」
「何かドイツ人ってイタリア好きな人が多いかも知れないわね」
 ここでこんなことも言った聡美だった。
「実際に」
「ああ、ゲーテもイタリア好きだったよね」
「ワーグナーもね」
「ドイツからイタリアへの観光客が多いらしいね」
「そういうの聞くとね」
「ドイツ人ってやっぱりイタリアが好きなのかな」
「少なくとも嫌いではないみたいね」
 樹里は御飯を食べつつ述べた、見れば彼女の方も上城の方もかなり食べていてどちらも残りあと僅かである。
 それでだ。最後の一口を食べて言うのだった。
「ごちそうさま」
「うん、僕もね」
 ここで上城も食べ終わり言う。
「ごちそうさま」
「じゃあクラスに戻る?」
「いや、ちょっと中田さんのところ行かない?」
「中田さんのところ?」
「そう、あの人のところにね」
 行こうかというのだ。
「今から」
「何かあるの?」
「うん、剣道のことでお聞きしたいことがあるんだ」
「剣士の戦いのことじゃなくて」
「剣道のね、あの人二刀流じゃない」
 中田の剣道はそれである、その彼に対して上城は中段の構えだ。生真面目な彼らしいオーソドックスな構えと言える。
「最近二刀流もいいかなって思ってね」
「それでなの」
「そう、二刀流について具体的にね」
「上城君二刀流してみるの?」
「そこまでは考えてないけれど」
 それでもだというのだ。
「興味があるから」
「教えてもらうのね」
「そう思ってるんだ」
「じゃあ今からね」
「そう、行こうかなって思ってるんだけれど」
「じゃあ私も」
 樹里は上城に自分もと名乗り出た。二人でそうした話をしながらそのうえで席を立って食器を返却口にプラスチックの盆ごと持って行っている。
「一緒にね」
「来てくれるの?」
「お昼特にすることない
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