49:ボクの王子様
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…彼と再会したのは、意外な場所であった。
『……よォ、《黒の剣士》さんよ』
デイドのしわがれた声が、牢屋越しに俺の耳に届く。
彼と再会したのは……黒鉄宮の監獄エリアだったのだ。
当初、デイドは第一層に転送された後にユミルを時間差で毒殺したことにより、変化したカーソルを《軍》に見られ連行されたと思われた。
しかしよくよく思い出せば、殺されたユミルは当時、カーソルはイエローだったのだ。グリーンプレイヤーであるデイドがユミルを倒したところでカーソルは変色はしないはず……。現に、デイドのカーソルは牢獄にいる今もグリーンのままなのだ。なのに、なぜデイドはこのような場所に居るのかと問うと……返ってきた返事に俺達は驚愕した。
彼は……《自首》をしていたのだ。
今の俺みたいな軽犯罪な場合は、犯罪の度合いによって数時間から数日すれば元のグリーンに戻ることができるが、善良プレイヤーを殺害した場合は半永久的なイエロー化はまず免れ得ない。
しかし、そんな場合に自分がイエロー化する前に、もしくはイエロープレイヤー自ら罪を告白することで入獄する《自首投獄》する場合は話が別になってくる。SAOでは、自首投獄したプレイヤーは情状面を与され、罪をある程度軽減することができるのだ。
だがデイドが犯した罪は事実上、数ある中でも最上級の《プレイヤー殺人》とはいえ、システム的にはオールセーフのグリーンプレイヤー。入獄する必要はないはずだ。
『あるんだよ、これが。テメーも知ってんだろ、キリト? ……攻略組は内部規律も厳しい。そんな中、腕は立つとも殺人履歴のあるプレイヤーをハイそうですかと受け入れるギルドなんざ、今時ありゃしねぇよ』
とは、デイドの弁だ。
確かにその通りではある。《聖竜連合》のように血の気の強い場所ならともかく……攻略組を内包するギルドのほとんどは規律や風紀を重んずる所が大方を占める。そこに、例え相手がイエローだったとはいえ殺害経験のあるプレイヤーを招き入れるギルドがあるかと言われれば……デイドにとって芳しい返答は送れそうにないのが現状だった。……かつての対ラフコフとの血みどろの大抗争は例外として、プレイヤー死傷履歴のあるプレイヤーはまず門前払いされるのが今の攻略組の通例でもあった。
『グリーンだからと言って、俺が一人のプレイヤーを殺しちまったのは変わりねぇ。……だが、俺は諦めねぇ』
その目には、それでも執念深く獲物を……目標を捉え続ける、蛇の眼。
『ここで自他共に納得するまで罪を雪いだ後、俺はまた攻略組を目指す。――それだけだ』
グリーンプレイヤーの入獄の場合、その刑期はプレイヤー任意のものとなる。しかし贖罪履歴が付けば、デイドのような場合ではギルド入団の際に殺人履歴も帳消
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