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ソードアート・オンライン リング・オブ・ハート
49:ボクの王子様
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解した。
 俺は、ユミルに頬をキスされたのだと、ようやく理解した。
 いや、もうどっちでもいい。
 とにかく。

「おま、お前っ、なんっ、俺にっ……!?」

 言葉を言おうにも、その強烈な行為だったがゆえに呂律がまるで回らない。
 ユミルは顔を伏せたまま……次第に、肩をふるふると震わせ始めた。
 そして……

「……ぷっ…………あっはははははっ!」

 と、声高らかに笑いながら、宿の方へと走り出した。

「キリトったら、男性アバターからのキスで顔真っ赤にしてやんのーっ! あははははっ!」
「んなっ……お前っ……!?」

 俺が追いかけるよりも早く、ユミルは宿のドアを開けてこちらを振り返り、

「キリトッ」

 ユミルは何かをこちらへと放って来た。
 今にも駆け出そうとしていた俺は慌ててそれを受け取る。
 受け取ったそれは、小さな麻袋だった。
 これは何かとと問おうかと再び顔を上げると、再びそれを言う前にユミルはパチリ、と目から星が出るエフェクトが出てもおかしくないほどの完璧なウィンクを俺に送り、パタンとあっけなくドアの向こうに消えてしまった。

「……な、なんだったんだ。一体……」

 これは後で確認しようと、やれやれと振り返ると……

 ――びっきーーん。

 と凍り付いた空気が俺を迎えた。
 果てしなく冷えた視線で、女性陣が俺を睨みつけていたのだ。
 今にも泣きだしそうな、弁解を求める涙の冷たさのシリカ。
 冷ややかな視線の裏には、何故か怒りも感じる謎の冷たさを放つリズベット。
 そして、ニッコリとした顔のまま時を止めたように動かない、とびっきりの冷気を放つアスナ。
 このなかでも唯一マーブルさんは冷気を感じないニコニコとした笑顔のままだったが……あれは間違いない。これから辿るであろう俺の凄惨な末路をだた傍観する笑顔だ。


 ……この後、俺は被害者であるのも関わらず、誠心の謝罪や無理難題な弁明などを三人からひたすら求められては言葉責めを喰らい続ける全く持って理不尽な羽目を喰らうのだった。


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