49:ボクの王子様
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ルさんは女の子……ですよね!?」
「そう思う?」
「ユミル君だよね……? ユミル君、男として扱って欲しがってたんだもん。ほ、本当は男の子なんだよね……?」
「そうしたほうが都合が良かったんだけど、キリトを困らせたくて試しに言ってみたら、思いのほか愉快だね、これ。このまま秘密のままにしておくのも悪くないかも」
「そっ……」
――そ……そんなのアリーーーっ!?
再び一同の心の絶叫。
「さて、以上の事を踏まえて……キリトにひとつ、ボクからのプレゼントがあります」
「えっ……!?」
これ以上ないほど驚いている俺達の事も露知らず、ユミルは立て続けにそんなことを言う。
よもやこれ以上の爆弾を投下する気かと身構える俺に、ユミルは再び俺の前へと歩み寄って見上げてくる。
「キリト。手、出して」
「え……こ、こうか?」
されど、そう言われたからにはもう従うしかあるまい。
俺は素直にユミルの前に手を出した。するとユミルも何かを握っているらしい手を俺の広げた手の上に動かし、そしてその手を開いて――
「…………?」
その手から――――何も落ちてこなかった。
「おい、何も――――ッ!!?」
その時だった。
その広げた手でユミルは俺の袖をつかみ、思い切り自分の方へと引っ張ってきたのだ。
突然のそれに思わず上半身が前のめりになる俺。
続いて、なにを思ったのか同時につま先を伸ばして背伸びをするユミル。
それを最後に――ユミルが俺の視界から消えた。
「――――――。」
<i2001|7750>
――代わりに、視界が綺麗な金色一色に染まった。
その強烈な視覚信号の次に、触覚からも強烈な信号を俺の脳は傍受していた。
――右頬が熱い。
それは今にも触れている所からとろけてしまいそうな。されど、例えようもなく柔らかい……果てしなく甘美な熱さだった。
今度は嗅覚からも訴えが来ている。
――とてつもなくいい匂い。
柚子や蜜柑に似た柑橘系の匂いに混じる、バニラのように仄かな甘い香り。俺の理性をマグニチュード9の勢いでガタガタに腰砕けにする、禁断の芳香。
そして……トドメに聴覚から。
「――本当にありがとう、キリト。―――――大好きだよ。―――――ボクを救ってくれた……ボクの、ボクだけの……王子様」
という、耳元でそっと囁く天使のウィスパーボイス。
……………。
「……………」
ふと気付いた次の瞬間には、もうユミルが先ほどのように俺の目の前に立って顔を伏せている。
「…………――――〜〜ッ!!?? なっ!? おまっ……!?」
ユミルは、俺の頬へとキスしたのだと、ようやく理
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