第九十五話
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上に存在する最源流の鋼。そんな相手に、今の怒りのままに向かって勝てるはずもないのだ。
「・・・まずは、ナーシャを助け出す算段を付けないとな」
そんなことを考えながら聖槍を持ち、普段とは違う一槍だけの構えをとる。
あのドームを切り開けるのは、おそらくこの槍の狂気だけ。だから、他の武器は構えない。
走り出した俺は、先ほどと同じように向かってくる流動体の上に乗り、また次のものに飛び乗る形で先へと進む。
このやり方を選択したことに、これといった意味はない。強いて言うなら、平面ではなく立体で動きたかった、と言ったところか。
そうして走り、片腕を飛ばされながらもでかいドームの真上にたどり着いたところで権能を使う。
「我は揺らす。我は全てを揺らす。地よ揺れろ。海よ揺れろ。天よ揺れろ。我が眼前に在りし全てよ、我がために揺れつくせ!」
あのドームの足場となっている海を揺らして、一瞬のすきを作る。
とはいえ、相手も鋼の軍神。本人に対して隙を作るのは困難を極めるし、現実として俺が何かする前に体勢を立て直してきた。
そして、その瞬間に海水を操って二度目のすきを作る。
その次は芝右衛門狸、大口真神の合わせ技を使ったあたりで攻撃の態勢は整ったので、槍を振りかぶり・・・その瞬間、強風に体勢を崩された。
「んな・・・!?」
「運が悪かったな、神殺しよ!」
運が悪かったなら、どれだけよかっただろうな・・・!
明らかに恐怖を纏っているドームを見ながら、心の中でそうつぶやいだ。
崩れた体制をどうにか修正しようとしたら、強風で飛んできた看板が側頭部にぶつかった。
・・・今のは、本当に運が悪い。
「とうとう運にも見放されたか、神殺しよ!」
「うるせえ・・・カハッ」
いらだたしげに看板を殴り飛ばしたら、今度は流動体が俺の腹を貫いた。
いってえ・・・が、これはチャンスだな。
「これで、」
「終わらねえんだな、これが・・・!」
芝右衛門狸の権能で翼をはやし、思いっきり羽ばたかせることで貫かれながら進む。
腹を貫かれたまま、一気にドームに近づいて・・・でかい方にぶつかる直前に、隣の方に跳ぶ。
「な・・・」
「まずは、ナーシャを返してもらうぞ!」
小さい方に向けて落ちながら片手で聖槍を構え、それを貫く。
そのまま、一瞬開いたところに転がり落ちることで、中への侵入を果たした。
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