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少年と女神の物語
第九十五話
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たが全て弾かれた。
 あれ、かなり柔らかそうなのに鋼の武具をはじけるのか・・・ってことは、

「お前は鋼の神なんだな」
「左様。そして、鋼の神としては貴様ら神殺しを殺さぬわけにはいかぬな!」

 その瞬間に海の水も流動体とともに攻撃してきたので、全てよけながら近づこうとしてみる。が、どうにも近づけない。
 相手は流動体を操っている。先ほどまでは海の上に薄く広がっているだけだったそれは、今や二つのドームを成している。
 一つは、東京ドームさながらという出鱈目さ。
 一つは、一軒家くらいの大きさ。

 このうち、前者から流動体が発射され、さらには海に広がりながら驚かされるタイミングで不可視の攻撃が飛んでくる。
 仕方ない、か・・・

「我は永続する太陽である。我が御霊は常に消え常に再臨する。わが身天に光臨せし時、我はこの地に息を吹き返さん!」

 このままでは間違いなく死ぬので、沈まぬ太陽(パーマネンス・レイ)を使って安全を確保する。
 再び走り出し、攻撃をしてきた流動体に対して、

「我は水を司る。全ての水よ、我に向かいし敵意を一掃せよ!」

 海水を操ってぶつけあわせることで一瞬の時間を稼ぐ。
 この流動体は、固さがないにもかかわらずこの神の持つ鋼の武具。ただの海水ではとても太刀打ちできないが・・・ほんの一瞬くらいは、稼いでくれる。
 その隙を利用して走り、大本のドームに聖槍(ロンギヌス)を突き立て、

「わが内にありしは天空の雷撃。社会を守る、秩序の一撃である!今ここに、我が身に宿れ!」

 オマケだ!

「聖槍の孕みし狂気よ、狂気の女神の狂おしき呪詛よ!ここに汝の存在を表しめよ!」

 ゼウスの雷とアテの狂気の合わせ技。
 その威力は十分にあったようで、流動体のドームが二つとも、一瞬だけ形を崩した。
 そして、俺はその中を見ようとして・・・

「っ、ナーシャ!」

 小さいほうの中に、ナーシャがいるのを見つけた。
 そのせいで大きいほうの中に何がいるのかを確認できなかったが・・・それでも、十分すぎる。
 とはいえ、一瞬だったから中には入れなかったな・・・もう一度やっても通用するとは思えないし。

「・・・なんにしても、まずはお前を倒さないと、か」
「本当に理解が早いのだな。怒りのままに向かってくるかと思ったのだが」
「本当ならそうしたいところなんだけどな。最源流の鋼は、それで勝てる相手じゃない」

 そう、最源流の鋼とはそういった存在だ。
 ただやみくもに、心の赴くがままに力をふるって、それで勝てる相手ではない。
 鋼でない神相手でも、持てる力の全てを使わなければ勝つことはできない。そして、鋼の神相手であれば知略まで使えば勝つことができるのだろう。
 その
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