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道を外した陰陽師
第二十二話
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てしまう。
 正直、俺にはそんなセンスはないので何も言えないのだ。

「どっちも似合うと思うぞ、というどうしようもないことしか言えない」
「大丈夫、予想はついていた」
「オイコラ、なら何で聞いた」
「人間が単独で神に勝利できる位のわずかな可能性にかけてみた」

 俺にそう言ったことが分かる可能性はそこまで低いか・・・自覚あるけど。
 ここで霊獣を引き合いに出さずに神を出してきたのは、俺が白澤を殺したことがあるからだろう。

「お客様、お悩みでしたら試着してみてはいかがでしょうか?」

 そのまましばらく悩んでいたら、店員からそう声をかけられた。

「あー・・・それがいいかもな。どうする、雪姫?」
「・・・そうさせてもらおう。着てみないと分からないものもあるだろうからな」

 そう言いながら雪姫は服を持ち、店員に案内されながら試着コーナーに向かった。
 その場に残された俺もまた、その後を追っていった。



 ========



「お客様は彼女さんといつからのお付き合いなんですか?」

 一輝と店員が試着コーナーの前で待っていると、店員からそう声をかけられた。
 なんてことはない。ただ退屈させないように、という配慮である。

 一輝は急に話しかけられ、敬語で行くかタメ口で行くか悩んでから・・・

「あの、俺達付きあってるわけじゃないですけど」

 面倒になるのもゴメンなので、敬語で返した。

「あら、そうなんですか。てっきりそうなのだと」
「違いますよ。ってか、雪姫に失礼でしょう、それは」

 一輝に自覚はないが、一輝自身もそこそこに整った顔立ちをしているので、店員はそうでもないような・・・と思ったのだが、そこは口にしない。

「それに・・・俺には、人と付き合う権利なんてないんです」

 一輝の一言は、店員には聞こえなかったようだ。

「では、どのようなご関係で?」

 そのかわり、話はやけに突っ込んでくる。
 そこにいやなものを感じさせないのは彼女の人となりによるものであり、同時に彼女がそう言った妖怪の血を多少ながらひいていることもあるのだが・・・一輝は、この返答に少しまよった。

 最初の関係は暗殺者と標的。その次に捕まった側と捕まえた側になり、依頼人と陰陽師(卵)、そして今では、雪姫は一輝の秘書をやっていたり、一緒に仕事をしたりして・・・と、中々全てを説明するのは難しい関係となる。
 そうして一輝はしばらく悩み・・・一つ、これならという表現を見つける。

「友達とか仲間とか、そんな感じです」
「仲間、ですか・・・つまり、お二人とも陰陽師を?」
「お互いに卵、名無しですけど。一応はそうなりますね」
「はぁ、それは・・・大変そうですね」

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