第二十二話
[2/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
可愛い声で叫ぶな!」
「か、かわっ・・・」
もう何も言えなくなり、せめて顔が見られないようにと俯いて黙った瞬間・・・一輝が地面を蹴り、そのまま空中を蹴って走りだした。
「・・・すごいな、これは」
「楽しいだろ、意外と。空を跳ぶのって」
楽しい、なんてもんじゃない。
私が走っているわけじゃないのに、そういう気分になる。
「どうせなら、このまま向かうか。どこか行きたいところはありますか、姫?」
姫って・・・ま、まあたまにはいいか。
「では・・・ショッピングへ?」
「・・・ずいぶんと庶民的なお姫様だな、おい」
「し、仕方ないだろう!!日用品も買いたいし、次のシーズンのための服も選んでおきたいんだ!何より、お姫様が行くようなところなど分かるか!」
========
雪姫の希望でショッピングセンターに来たのはいいんだが・・・
「・・・なあ、雪姫」
「どうした?」
「すっごく、居心地が悪い・・・」
そう、居心地が悪いのだ。今いるのは、女性服売り場。
自分が着れるサイズの中で買うものを選んでいる雪姫はいい。
が、男の俺がここにいるのはどうにも居心地が悪いのだ。
「気にするな。じきに慣れるんじゃないか?」
「いや、無理だろ・・・ものすっごく見られてる」
そう、見られるのだ、俺が。
「・・・気のせいじゃないか?」
「んなわけあるか。周り見てみろ」
俺に言われてようやく、雪姫も周りを見回して・・・
「・・・確かに、見られているな。一輝が」
ようやく、理解してくれたようだ。
「はぁ・・・まあ、こんなところにいたら目立って当然か」
「それなら、もう少し近くに来たらどうだ?この場所に男が一人でいるのが目立つんだろう。変に距離をとるな」
「そういうもんかねぇ・・・」
そうでもないような気がするが、すぐ隣まで近づいていく。
と、結局見られている。
しかも、話してる内容も聞こえてきて・・・やっぱりそう見られてるのか。
どう考えても不釣り合いだと思うんだけど・・・
「・・・それで?雪姫は何を悩んでるんだ?」
とりあえず、雪姫に気にした様子もないので(聞こえていないのかもしれないが)、俺も気にしないことにした。
「ん、ああ・・・どちらにしようかと思ってな」
確かに、雪姫の前には二セットの服の組み合わせがある。
「そんなに悩むなら、両方買えば?」
「誰もがお前や殺女のように欲しい物を欲しいだけ買える金を持ってると思うなよ」
そう言いながら見せてきた値札には、確かに学生がそう何着も買えるわけではない値段が書いてあった。
「私もいくつか自分で依頼をこなしているとは
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ