第二十話
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さく笑みを浮かべた。
感情に乏しい彼女でも、ただ一つだけ、例外となるものがあった。
それがどういった感情なのか、彼女はまだ理解していない。
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「えっと・・・すいま、せん・・・!」
第六席、匂宮美羽。彼女は制圧に来た建物で・・・自ら倒した相手に対して、頭を下げて謝罪していた。
そこには、一人残らず気を失っている者たちがいて・・・再び顔を上げた美羽の眼は、人間の目ではなかった。
細長く収縮している、猫の目。
登録コード、『化け猫交じり』。これは彼女の戦い方などを表していると言うより、彼女の血筋を表しているものだ。
猫多羅天女。匂宮の一族は、かつてこの女神と交わりを持った一族なのだ。
そこの子供は、男であれば身軽さと筋力という形で、女であれば身軽さと猫操りという形でその力を体現する。
美羽は当然後者を・・・それも、通常より強く体現している。先祖帰り、と呼ばれてしまうレベルに。
彼女はその力ゆえに席組みへ所属し、戦いを嫌う、優しい性格であるにもかかわらず第六席と言う位にまで上がっている。
そして、優しい性格ゆえに・・・こうして、倒してしまった相手に対して頭を下げているのだ。
今回、彼女は猫操りによって全員の首を一瞬で絞め、気絶させた。本来ならかなりの力と経験が必要な気絶のさせ方なのだが、それを異能を使うことによって可能としているのだ。
そのまま彼女は、俯きながら進んでいき、書物を回収してから呪符を祭壇に張り付ける。
その呪符はかなり簡易的なものであるために許容できる呪力の量が少ない。そして、その許容量を過剰にオーバーしたとき・・・爆発を引き起こす。
そうして祭壇を破壊してから、彼女はもう一度だけ頭を下げて、その場を走り去った。
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「はぁ・・・全く、何で俺がこんなことを・・・」
豊は、依頼を受けた身でありながらそう呟いた。
そして、そう言いながらも手に持った白澤図から飛びだした白黒の異形は、確実にそいつらを倒していく。
ぶつぶつ言いながらもちゃんと仕事だけはしていくのだ。
そして、そのまま特に何かあるわけでもなく書物を回収し、祭壇を破壊してその場を去る。
はっきり言おう。つまらん。
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「全く、何でわたくしがこんなザコどもの相手をしなければならないのですか」
そして、前もまた豊と同じようなことをつぶやいていた。
なんだかんだ、この二人は似たような性格をしているのだ。
豊が白澤図の中の異形を使うように、前は小刀に宿る子狐の霊を操り、敵を倒していく。
たまに青い炎・・・狐火を出して自ら攻撃もしているが、これはどちらかと言う
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