第十七話
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入口にもあった封印用の札や除霊用の札で折り紙をしている、一人の女の子がいた。
見た目の年齢は俺の一つ上くらい。
和服を着ていて、なんとなく上品なお嬢様、という感想を抱かせた。
「・・・さっきまでの瘴気、君が?」
「いえ、違います。どうにも、わたくしにここから出ていってほしくないお方がやっているようで・・・」
本人は心から申し訳なさそうなので、事実なのだろうと仮定して俺はその隣に座る。
そこでようやく気付いたが、足から下が透けている。
「あー・・・とりあえず、自己紹介だけしとくか。俺は寺西一輝。陰陽師の卵だ。今回は、この土地を元に戻してほしい、って言われてここに来た」
「そうなのですか。それはそれは、申し訳ございません・・・どうにもわたくし、ここから離れることができないのです」
「まあ、この瘴気とかを作ってる妖怪の仕業だろ。気にすることじゃないよ」
「そう言っていただけると、とてもありがたいです。わたくしは二穂積と申します。どうぞ、穂積とお呼びください」
「なら穂積、俺も一輝でいいぞ」
なかなかにフレンドリーで、俺は気軽に話していた。
とりあえず、邪魔されたくないので結界を張ってから。
「それで、穂積。お前はどうしたいんだ?」
「どうしたい、と申しますと?」
「ここから離れて成仏したいとか、このままここにとりついていたいとか、まだしばらくは生きてみたいとか」
「そうでございますね・・・とりあえず、この状況から解放されることさえできれば文句は申しません」
うん、欲がなさ過ぎだな。
「なら、ぜいたくを言うと?」
「そうでございますね・・・普通に、暮らしてみたいです」
なるほど、それなら穂積を払って解決、ってのは駄目だな。
「といっても、わたくしを縛っているお方がいますので無理なのですが」
「うん、つまり、だ」
「はい、なんでしょう?」
「そいつさえいなくなれば、何も問題はないんだな?」
「そうですが・・・どうされるおつもりですか?」
「とりあえず、そいつを殺すことにした」
「・・・・・・はい!?」
はじめて、穂積の表情が動いた。
うん、やっぱりそいつは殺すしかないな。
「えっと・・・何を言っておられるのですか?」
「だから、穂積がここに縛られてる原因をぶっ殺す、って言った」
「彼は怨念の塊、そうやすやすと倒せるお方ではありませんよ?」
「ああ、それなら大丈夫。俺もこれで、中々倒せない相手を殺してきてるから」
そう言いながら立ち上がり、結界を解除して飛んできた瘴気をすべて切り裂く。
うん、やっぱり大したことないな。
「んじゃ、その怨念の塊さんとやらのところまで案内してくれないか?ついでに、そ
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