第二章
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では」
アッサムは一礼してからそのコエチャップを受け取った。箸で食べてみるとナムプラーとコリアンダーを活かした見事な味であった。
「これは」
「麺はどうですか?」
親父はにこりと笑ってアッサムに問うてきた。
「麺ですか」
「絶品でしょう」
にこりと笑ってそこも問う。
「如何でしょうか」
「ええ、これは」
それもまた味わっている。コシもあり風味もいい。見事な味だ。
「かなりいいですね」
「米の麺もありますよ」
「米もですか」
「はい」
ベトナムでは麦の麺も米の麺も両方よく食べる。この国はメナム河があり豊かな穀倉地帯を持っている。だから米も麦も豊富なのである。
「それも如何でしょうか」
「いや、もう満腹でして」
それは断るのであった。
「折角ですが」
「左様ですか。ではまたの機会に」
「うちのお父さんの麺は全部最高なんだよ」
横からナンカが言ってきた。にこにこと笑っている。
「どれを食べてもいけるよ」
「どれもなんだ」
「そうだよ。だからまた来てね」
そうアッサムに言うのだった。
「待ってるからね」
「うん、まあ」
「うちの娘が迷惑かけたようですね」
店の親父もまたアッサムに声をかけてきた。そうして彼に言うのだ。
「どうもすいません」
「いえ、そうではないのです」
しかしアッサムはそれを否定する。
「そうではないと」
「ええと。ナンカちゃんですね」
まずは彼女の名前を確かめた。
「ええ、そうですけれど」
「彼女から聞いたんですが」
そう親父に問う。
「日本軍の人達から変わった麺を教えてもらったそうで」
「ああ、あれですか」
親父はそれを聞いて思い出したように声をあげた。
「あの麺ですね。『うどん』とか『そば』とかいう」
「うどんにそばですか」
「そうです。味はあっさりというか何というか」
首を捻りながらアッサムに述べる。
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