第十二話
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だろうし。
「・・・それこそ、才能じゃないのか?」
「まあ、それも無くはない。でも、それ以上に重要なものが有るんだよ」
この話し方じゃ、分かりづらいかな。
雪姫が首をかしげているので、俺は答えを言うことにした。
「意志の力だよ」
「・・・結局それなのか?」
「ああ、結局それだ。とはいえ、ただ意思を持つだけじゃダメなんだけどな」
そう、ただ意志を持つくらいのことは誰にでも出来る。
「何か一つ、これだけは譲れないものがある。そして、それを譲れないという意思の力次第なんだよ」
「何か一つ?」
「ああ。目標でも、恨みでも、執念でも、何でもいいんだ。何か一つ、それがあればいい」
「・・・本当に、何でもいいんだな」
「ああ、何でもいいんだよ、本当に」
だからこそ、正義が必ず強いわけではないのだ。
悪であろうと、意志の力があれば強くなる。それこそ、脅威でしかないレベルに。
「・・・で?そんな話をして、どうしたいんだ?」
「お前には、それが有るのか?」
俺は率直に、そう聞いた。
「意思があるか、か。なるほど、今の私はそれほどまでに空っぽに見えるのか?」
「ああ、見えるな。何より、今の主に対しては不満があるみたいだし?」
その瞬間、雪姫の表情が驚きに染まった。
そこまで驚かれるようなことかね?
「・・・なんで、そのことを?」
「何で、って言われてもなぁ・・・まず、雪姫が忍者の一族だったことはあのクナイを見れば分かる」
クナイにあれが刻まれてたってことは、その認識で間違いないはずだ。
「次に、今の主は忍者に暗殺を任せるにしては情報を渡さなさ過ぎてる。そんな主、信用できるはずが無いからな」
だろ?と俺が問いかけると、雪姫はうつむいた。
肯定、でいいだろうな。
「・・・だとしても、主の情報を渡すつもりは無い」
「それくらい、俺でも分かる。いくら主に不満が有るからって、主を裏切れるはずが無いもんな」
「そうだ。そして、これ以上は、もう・・・」
雪姫はそう言いながら、ポケットに手を突っ込み・・・俺が返した、小さなクナイを取り出した。
「・・・やっぱり、それはそうなんだよな」
「ああ。こんな小さなクナイ、出来ることは限られているだろう?」
「確かに、その通りだ」
そして、雪姫は首筋にそのクナイを当てる。
自害。
そう、あのクナイは万が一相手につかまりそうになったときなどに自分の命を絶つためのもの。
そして同時に、一族の家紋が記されている・・・持ち主の命と言っても支障がないものだ。
「・・・これだけは、渡すことが出来なかった」
「主への忠誠。それを誓う際に渡すものなんだよな」
「そうだ。私の一族は
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