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道を外した陰陽師
第十一話
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、雪姫が反応して来た。
 聞き流してくれた方が楽なのになー・・・

「ちょっと待て、なんだ?この猫は猫又なのか?」
「ああ。・・・つっても、正確には猫又になりそう、くらいのもんだけど。・・・この写真からすると、後三日、かな?」

 確かそれくらいで、満月だったと思う。
 満月、新月は妖怪にとって重要な意味を持つ。
 その日なら様々な恩恵をえられるから、妖怪にもなりやすいだろうし。

「まあ、多分この猫もそれが分かってて家を抜け出したんだろうな。自分が塗りつぶされていく感覚、それを死の前兆と勘違いして」

 ほら、猫って誰にも見つからない場所で死ぬって言うじゃん?
 そんな感じだろう。まあ、なんにしても早いところ見つけないと。

「さて、と・・・まずは目障りなものをゴミ捨て場に捨てようかな?」
「何が言いたいのかは分かるが、やめて置け。余計に面倒になるだけだ」
「そうか?俺には、全部綺麗に潰せば面倒ごとなんてないと思うけど」

 そう言いながら見るのは、謎の布教活動をしている宗教団体。
 その名前にも、聞き覚えは無い。
 そもそもなんだ、神の一族の光臨を願いましょう、って。どんな一族だよ。
 彼らは死んだのではない、一度天に帰ったのだ、って。

「はぁ・・・まあいいや。何か問題があるなら他の団体が動くだろうし」
「そうだろうな。・・・あ」

 雪姫が何かを見つけたかのように声を上げたので、俺は立ち止まって雪姫が見ているほうを見る。
 そこにあるのは、先ほどの宗教団体の車と・・・その先にいる猫の姿。

 その尾は二つに分かれ、特徴は張り紙が有った猫に似ている・・・

「ようやく見つけた・・・ちょっと行ってくる」
「・・・は!?」

 俺は驚く雪姫を放置して走り、猫のいる位置まで近づいて抱き上げる。
 うん、性別も一致するし・・・尾が増えてること以外は、完璧に一致だな。

「オイ、小僧!さっさとどけ!ってか手を離せ!」

 にしても、こんなに早く尾が分かれてるとは・・・あ、一本に戻った。まだ不安定で、どっち付かずになってるんだな。

「聞いてんのか!?」
「ん?・・・ああ、ゴメンゴメン」
「軽いな!?」

 俺はようやく、今の状況を思い出した。
 俺は猫を発見して、その瞬間に車の前に飛び出した。
 そして、そのまま発進し始めていた車を片手で押さえ込み、そのまま猫の観察をしていたのだ。

 無意識って怖いな・・・結構面倒な力のコントロールとか、さらっとやってたぞ・・・

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