第十一話
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ざわざ猫探しなんてしているのか、だ」
そう、俺は今猫を探している。
理由は、特に無い。探し猫の張り紙があったから、なんとなく探しているだけ。
強いて言うなら、ほら。動物ってリラクゼーション効果があるって言うじゃん?心を開いてもらうにはちょうどいいかな、と。
「まあ、いいじゃん。ちょうど暇なわけだし」
「確かに暇だが・・・お前は、暇というだけの理由でこんなことをするのか?」
「んー・・・休日とかは、依頼をこなすことが多いかな。それも無かったら、大家さんに頼まれたことをこなしたり」
大体、俺の休日はそんな感じである。
最近は席組みに入った関係であまりやるな、と光也に言われたから依頼量を増やした。
そんな理由で俺のやることを制限されてたまるか。料金も、市場価格なんてガン無視してやってる。
おかしいと思うんだよね。金があるヤツからもないやつからも同じ値段なんて。
「そうやって生計を立てているのか?」
「いや?言わなかったっけ。俺、もう一生だらだらしても問題ないくらいには蓄えがあるぞ?」
「なら、なんで・・・」
なんで、ねぇ・・・
「元々、俺の一族はそんなに世間からのイメージが良くなかったんだよ。今はそうでもないけど、昔は酷かったらしい」
「・・・で?」
「だから、まあそんな汚名を雪いで見るのも面白いかな、とね。もうその名前を名乗れないかもしれないけど、もしも奥義を習得できたときに若干はイメージが良くなるかもだろ?」
とまあ、他にも本気でやることが無いとか、なんとなくとかはあるんだけど。
他には、まあ色々と問題児的行動もしてるから、せめてプラマイゼロくらいにはしときたいな、とかもある。
要するに、無償の善意なんかじゃなくて、俺の勝手な都合だ。
「・・・そんな一族だったのか。まあ、それでもうちに比べたらマシだっただろうな」
「へえ、そんな自信が?」
「ああ。うち以上のところなんて早々ない。・・・家業が家業だったからな」
そう言っている雪姫の顔はどこかさびしそうだった。が・・・
「それは無いな。うち以上に評判の悪いところなんて、存在しない」
「ずいぶんと大口を叩いたな。だが、日本で最も評判の悪いのは『外道』の一族だろ?そして、あの一族はもう潰れたと聞いている」
「・・・ああ、そうだな」
外道。
日本のある一族に与えられた通称。
その名前を知らない日本人は存在しないくらいで、高校の教科書には、その一族の中で一番でかいことをした五代目の名前まで載っている。
それほどまでに、有名な一族なのだが・・・うん、まあいいか。
「さて・・・どこにいるのか、この猫又は」
「そうだな・・・今、なんと言った?」
俺が捜しながらつぶやいた言葉に
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