第九話
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でも警戒しているせいか、何発か打撃が跳んできたのを全て避けて体を揺すり、それでも起きなかったので呪力を流し込んで起こす。
「ふぁ〜・・・おはよう、カズ君!」
「おはよう、殺女。少し声のトーンを落としてくれ」
一応、逃げられないように俺の部屋には結界を張ってあるが、それでもまあ起こさないに越したことはないだろう。
ガンッ!
とか音がしてきたから、もう手遅れかもしれないけど。
「・・・今の音は?」
「多分、俺の部屋に閉じ込めてある暗殺者」
「へぇ、暗殺者・・・暗殺者!?」
あ、ようやく目を覚ましたな、殺女。
まったく、早く目を覚まして欲しかったのに・・・ま、起きてくれたんだしいいか。
そのまま視線でとなりに行くぞ、と指示して二人でベランダから隣に移動。
窓際のところで頭を抑えてしゃがみ、涙目になっている暗殺者を発見する。
「・・・本当に暗殺者?」
「間違いない。俺、殺されかけてたみたいだし・・・無傷だけど」
そう言いながらしゃがんで視線を合わせて、声を掛ける。
「おーい、暗殺者さん。話を聞いてくれませんかー?」
「!?」
その瞬間に後ろに跳んで距離をとり、服の中から小型のナイフを取り出した。
まだ隠し持ってたのか・・・まあ、さすがに服の中に手を突っ込むわけにもいかんし、これ以上の没収は無理だったはずだ、うん。
「まあまあ、一回武器を下ろして。ついでに、武器を全部捨ててくれません?」
「・・・・・・」
「話し合いの機会を作りたいんだよ、こっちは。それに、出来ればとりたくない手段をとらざるを得なくなる」
「・・・何をするつもりだ?」
予想以上に高くて可愛らしい声だな、と感心しつつ、俺はそれを告げる。
「全裸にひん剥いて、武器を全部没収。服も返せないな」
「分かった。すぐに捨てるからお前は後ろを向いていろ」
即答だった。
もう、清々しいくらいに即答だった。
まあ、おかげでさらにやりたくない手段を言いすらせずに済んだけど。
「ねえ、カズ君。この感じだと・・・」
「ああ。腕は確かみたいだけど、暗殺者としてはまだまだ未熟だな」
「うん。のんでた小型ナイフも捨てちゃってる」
「そうか」
たったあれだけの会話で武器を捨てることを選ぶのは、暗殺者としては二流、三流もいいところだ。
本来なら、今回みたいに捕まった時点で自害。依頼者の情報を隠しにかかるべきなのだ。
なのに、この子が選んだのは全ての武器を捨てること。
確認しても見つかりにくいのんでいたものすら捨ててしまった時点で、そんな意思は消えたと考えていいだろう。
「・・・全て捨てた。他の武器がどこにあるのか、教えてもらうことは出来るか?」
「ん、了
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