第五話
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・・せめて前もって伝えておいて貰えると・・・」
「先生も今日、十分前に知らされたんだよ・・・おかしいとは思ってたんだ。校長先生がたっかいお茶菓子を準備してたから・・・」
大竹先生とその目の前に座っていた委員長の会話が聞こえてきたけど・・・不憫だな、あの人も。
そして、殺女はこっちに笑顔を向けてくるな。この空気を作ったのはお前だろうが。自分でどうにかしろ。
が、そんな俺の願いは・・・
「ねえカズ君?この空気はどうしたらいいのかな?」
聞き届けられることはなかった。
このクラスで、名前にカズと入るのは俺だけで、必然的に俺を指しているのだとすぐに分かる。実際、クラスにいる全員の視線が俺のほうに向いているし。
二学期初日に転校してきたヤツが、二学期になってから少したった今日転校してきた席組みと知り合い、興味が湧かないわけが無い。
「おーいカズ君。聞こえてるー?友達が聞いてるんだから、何かしらリアクションくらいはするべきじゃないの〜?」
「・・・もう頼むから、一回黙ってくれ、殺女・・・」
俺の席の前まで来た殺女が指の先を机に引っ掛けてしゃがみ、俺を下から見上げるようにして尋ねてくるので、もう限界だと考えた俺はそう答えた。
何て疲れる日だ、今日は・・・
「えっと・・・寺西君。きみは、その、土御門さんと・・・」
「あー・・・仕事の都合で、まあ友達です。ハイ」
話をあわせろ、と机に書きながら、俺は説明を始める。
「えっと・・・稀に、席組みの人がランク持ちの人を仕事のパートナーにして仕事をすることがあるのは知ってますよね?」
さっきクラスの人間には言ってしまったし、大竹先生にもそのことは教えてある。
だから、クラスの全員が俺がランク持ちだと思っているこの状況だけは、良かったな。
「ああ、知っているが・・・かなり稀なケースだと聞いている」
「そうなんですけど・・・それが、俺と殺女に当てはまるんですよ」
一応、それで納得してくれたようだ。
そして、委員長と大竹先生はホッとしたような表情をしている。
「じゃ、じゃあ。土御門さんのことは君に任せてもいいかな!?」
「・・・別にいいですよ。殺女もそれでいいか?」
「うん、よろしくねカズ君!」
「後でなんでこうなったのか、説明しろよ・・・!」
「あ、席も替えようか?この席でよければ、どうぞ」
「ホント!?ありがとう!」
そう言いながら殺女が俺の隣の席だった女子に抱きついた。
ああ・・・残りの中学生生活、かなり大変そうだなぁ・・・
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